広告ツールとしてのブログはメディアミックス在りき――電通(3/4 ページ)

» 2005年06月22日 10時39分 公開
[聞き手:木田佳克、森川拓男,ITmedia]

高広 テレビとインターネット、それぞれに求められる双方向性は、言葉が同じであっても大きな違いがあると思います。

 テレビに求める双方向性とは、見ている番組に対して求められるインタラクション。インターネットに求められるインタラクションというのは、例えばコンテンツとサイト来訪者に対する双方向性だけでなく、Consumer to Consumer〜コミュニティーやSNS、Blogといった領域での双方向性も問われます。

 「双方向」という言葉は単に“情報の流れ”を表しているに過ぎません。大事なのは「誰と誰」の双方向であるのか? またそれぞれ同じ人であっても、時間やシチュエーションが異なると違う双方向モードになるかもしれない。根本的に“Interactive”というのは、“Inter-Action”なのであり、お互いに“Action”の動機がなければ双方向は実現しないわけです。そのため、双方がどちらも触りたくなる、互いにコミュニケーションを行いたくなるような、機能やコンテンツを作り上げていくことが今後の広告コミュニケーションの課題だと考えています。

Blogと広告の関係

ITmedia 総務省発表で、この先1年程度で見てもBlogなどに対する広告効果が上がっていくという予想が発表されましたが、Blogの可能性はどのように見ていますか。

高広 Blogを広告メディアにするというアイデアはいろいろな側面があると思います。

 先日、米国の「BlogAds」というBlog広告代理店の社長に話を聞く機会があったのですが、結局Blogに特化した広告ビジネスだけで顕著に広告効果が上がるわけではないと話してましたね。まぁ当然かもしれませんが……。

 結局、Blogというのも、基本的にインターネット上のサイト表現の一種であり、客観的にはサイト数が増えるということに過ぎないわけです。まずはそういう基本的な視点にたった上で何ができるのか? を考えたほうがよいと思うのですよね。このため可能性はいろいろと考えられますが、「このBlogだからこそバナー出校する」という状況にはなりづらいでしょう。Google AdSenseやOvertureのようなblogに書かれた内容に合わせた広告が出るというコンテンツマッチング広告のスタイルが定着するかと思います。

 こうした広告“枠”以外でのBlogの使い方としては、コンシューマのクチコミ的なものの中にいかに商品やサービスが入り込むか、を企画することでしょう。

 人々の間で話題になる、クチコミになるということは、商品に関連する“情報”が流通するということです。それでは、この“情報”がいかにうまく「書かれる」と、流通していくのか? そのためには何をすべきかという側面から考えていくと、マスメディアの影響力も否めないところです。

 例えばテレビの中でいかにうまく商品を紹介し、インターネットで探したくなるような仕掛けをつくるか? という興味の持たせ方を考えるところから始めなければなりません。そしてその興味が各人のBlogで書かれ、その書かれた情報を基に企業などの商品情報サイトへと飛んでいく、あるいは商品への愛着感を持ってもらう、実際に購入してもらうなどの“ストーリー”を作り上げることがポイントですね。

 総合広告会社としての強みは統合型のマーケティングソリューションなので、コンシューマが「動くストーリー」の全体構造を考え、その中で必要となればBlogも使っていく、という展開になるでしょう。

 また、これまで数値や視覚化ができなかった「クチコミ」や「話題」を、Blogの中のキーワード露出頻度やコメント数、トラックバックなどを計測することで、キャンペーン効果を計るという指標にもつながってきます。これはBlogではありませんが、実際にTVCMの効果をサイトトラフィックで計測する、という広告主が出てきている時代ですから。

Blogの情報価値は国民性に関係するのか

ITmedia 今後もBlog人口が増えていくとその効果が活きてくるということですか。

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