情報漏えい対策に3つの「ディスクレス」の解uVALUEコンベンション2005

日立はセキュアクライアントソリューションのコンセプトで「データを持たなければ漏えいはしない」との解を示した。HITACHI uVALUEコンベンション2005のセミナーをリポートする。

» 2005年07月23日 00時45分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 7月20〜21日に開催したカンファレンス「HITACHI uVALUEコンベンション2005」で日立製作所は、2月から施行された個人情報保護法についてひも解き、個人情報の取り扱いに企業責任が課せられていることを強調した。同社は、「セキュリティPC」(関連記事)と、「クライアントブレード」(関連記事)を「セキュアクライアントソリューション」と呼んでいる。21日のセミナーで紹介した。

 セミナー講師を担った同社、セキュアユビキタスソリューションセンタ センタ長の岡田 純氏は、次に挙げる3つの形態を用意した理由について、「企業体制によって、段階的、そして業務内容別に導入ができるよう配慮した」と語る。

日立製作所、セキュアユビキタスソリューションセンタ センタ長の岡田 純氏
岡田氏は、2004年度の日本ネットワークセキュリティ協会のデータを示し、盗難や紛失による情報漏えいが多いことを指摘した

3つの段階で導入できるソリューション

 セキュアクライアントソリューションには、「ポイント・ポイント型」「ポイント・ブレード型」「センター型」の3つの形態があり、それぞれには、セキュリティPCと称する「FLORA Se210」(モバイルノートPC)、「FLORA Se310」(液晶一体型デスクトップPC)、「FLORA Se270」(A4ノート:販売予定)、「FLORA Se330」(デスクトップPC:販売予定)の4モデルをラインアップしている(2005年7月現在)。また、オプションとして用意する指静脈認証(次期製品ではSe210内蔵も検討中)、USB接続によるIP電話にも対応し、セキュリティーレベルを高めることも可能だ。

セキュアクライアントソリューションの3つの形態

 比較的導入ハードルが低い「ポイント・ポイント型」では、サーバ運用を日立が行うアウトソーシングサービスも用意している。上記いずれかのモデルを導入し、社内にサーバを構築せずに運用開始ができるというオプション。このため、新規あるいはリプレースのPC導入を検討する段階から考慮することができるだろう、と岡田氏。

 「ポイント・ブレード型」では、同社の「FLORA bd100」を利用し、利用人数分のブレードモジュールを必要とする形態(3Uサイズで最大14モジュール収納)。ただし、モジュールをいちどに増設する必要がないため、最低モジュール構成で導入し、徐々に拡張していくことも可能だ。また、すでに社内でVPNを導入しているケースにも対応できるという。

 「センター型」は、「Citrix Presentation Server」(シトリックス・システムズ・ジャパン)を利用する形態。この運用の場合は、1サーバを複数ユーザーで共有することができるため、コストパフォーマンスが高まる。サーバ共有するためのシトリックスのソフトウェア導入が必要となるが、ブレード型に比べ高度なアクセス管理が可能な点に優位さがある(関連記事)。日立は、シトリックス・システムズ・ジャパンとソリューション提供販売を行うパートナー契約を交わしている。

 上記いずれの形態でも、USBメモリー形状の認証用デバイス「KeyMobile」がログイン認証を担う。ユーザーそれぞれは固有のKeyMobileを保有することになり、セキュアPC自体は個体限定をしない。いずれかのPCのUSBバスにセットしてログインすればデスクトップ環境が再現できる。

ソリューションの基本的なネットワーク構成例

業務内容に沿った選択も

 さらに岡田氏は、3つの形態について業務内容による選択が好ましいとも語った。非定型業務であれば、ポイント・ブレード型でモジュール上で実現するPC環境を割り当てることが望ましい。例えば、ソフトウェア開発といったリソースを占有するニーズも満たせるという。

 一方、定型業務ではセンター型が適しており、Citrix Presentation Serverの効率的なリソース配分で定型業務アプリケーション種別を限定利用することもできる。また、端末を離れた際に第三者による操作を防止するためにも効果的だという。さらに、会社を離れ自宅に帰った際にも業務情報が常にサーバ上から離れないため情報の扱いが徹底できると強調した。

 セキュアクライアントソリューションについて岡田氏は、今後の課題としては更なるレスポンス向上、万が一ネットワークが中断した際に自動再接続するといった仕組みも検討していると語った。

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