Tablet PC市場が成長の兆し――米調査

価格下落に伴い、Tablet PCの市場がバーティカル市場以外でも伸び始めている。(IDG)

» 2005年07月29日 16時03分 公開
[IDG Japan]
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 2010年に向けて、Tablet PCメーカー各社は安定成長期に入る――調査会社In-Statが7月27日に明らかにした。

 ただしTablet PCを後押しする主要企業のMicrosoftが今後、コンシューマー向けの新たな低価格製品カテゴリーに本腰を入れるとなれば、それがTablet PC市場の成長を阻む最大の障壁となるだろう、とIn-Statは語っている。

 In-Statの上席アナリスト、ブライアン・オルーク氏によれば、Tablet PCの市場規模は2004年の12億ドルから2009年には54億ドルに拡大する見通しで、地域別では米国がトップを維持し、続いて欧州、アジアの順となる。In-Statでは、Windows XP Tablet PC Edition OSを搭載したデバイスをTablet PCとして分類している。

 今日のTablet PCはノートPCよりも高額で、主に医療、不動産、保険などのバーティカル市場で使われている。

 しかし最近では、これら以外の企業が中間管理職向けに購入する兆候が見られるという。限定的ながらもTablet PCの人気が高まっている主な理由は「価格の下落」だ。オルーク氏によれば、今年の平均価格は2000ドルを優に下回る。

 In-StatのTablet PCの出荷台数予測について、オルーク氏はコメントを控えた。

 Microsoftのビル・ゲイツ会長兼チーフソフトウェアアーキテクトが、「Tablet PCは米国で最も人気の高いPCの形態になるだろう」と予測して以来、同社は3年半以上にわたってTablet PCに注力していることを幾度も示してきた。

 Microsoftは今年1月、Tablet PCの価格を、同性能のノートPCよりも100ドル〜200ドル高い程度に抑えるべくPCベンダー各社と取り組んでいると述べ、また6月にはゲイツ氏がソフトウェア改良への投資を続けてTablet PCをメインストリームに押し上げると改めて強調した

 もしMicrosoftがTablet PC OSを新OSのWindows Vista(コードネームLonghorn)と連係させれば、Tablet PCがメインストリームに近づく一助になるかもしれないとオルーク氏は話している。Windows Vistaの出荷は2006年の予定

 一方、MicrosoftがTablet PC市場に見切りをつける可能性もあると同氏は指摘する。

 今年4月、ゲイツ氏はWindows Hardware Engineering Conference(WinHEC)で、「Ultra Mobile 2007」と呼ばれる新たな競合ポータブルコンピューティングプラットフォームの投入を検討中だと語った

 Microsoftのサイトに掲載されているゲイツ氏のコメントによれば、同氏はこのUltra Mobile 2007を、価格帯800ドル〜1000ドル、限りなく1ポンド(約450グラム)に近い重量の新しいデバイスカテゴリーとして位置付けている。カメラ、電話、タッチスクリーンを統合してコンシューマーフレンドリーなテイストを提供し、音楽/ビデオ再生機能を非常に長いバッテリー駆動時間で提供する。

 「Ultra Mobile 2007は、この市場に新たなポータブルPCプラットフォームをもたらすことになる。Tablet PCと共生することになれば、Tablet PCの売り上げが侵食されるだろう。Microsoftは、このUltra Mobile 2007を成功させたい、あるいはTablet PCをリプーレスするものにしたいと考えているかもしれない」(オルーク氏)

 Tablet PCの将来は、成長の点から見ると明るいが、市場全体に占める割合は小規模にとどまる。2009年末までに、ノートPC市場におけるTablet PCの割合は5%に達しない、とオルーク氏は予測している。

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