日本BEA、ゼロ・ダウンタイムを実現する「WebLogic Server 9.0J」発表

Diabloのコードネームで開発が進められてきたBEA WebLogic Server 9.0Jの出荷が始まる。「ゼロ・ダウンタイム機能が最大の強化点」という。

» 2005年08月09日 17時58分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 日本BEAシステムズは8月9日、「Diablo」(スペイン語で悪魔)のコードネームで開発が進められてきたWebLogicサーバの最新バージョン、「BEA WebLogic Server 9.0J」を発表した。これまでの同社製品と同様、米国と同時に発表され、10日から出荷が始まる。日本BEAシステムズでマーケティング本部長を務める保阪武男氏は、「ゼロ・ダウンタイム機能が最大の強化点」と話した。

 都内のオフィスで行われたプレスブリーフィングでは、単一のクラスタあるいはサーバ内において複数バージョンのJ2EEアプリケーションを管理できる「サイドバイサイド・デブロイメント」機能がデモされた。

 新バージョンからは管理ツールも大幅な改良が加えられ、ポータル画面からWebLogic Serverが効率良く管理できる。デモではインストールされている複数バージョンのJ2EEアプリケーションをポイント&クリックで切り替え、サービスを継続して提供しながらアップグレードできる機能が紹介された。もちろん、不具合などが生じた場合にはすぐに旧バージョンへ戻すこともできる。

 また、WebLogic Server自体のマイグレーション機能も強化され、JMS(Java Message Service)サービスやJTA(Java Transaction API)トランザクション回復サービスの自動マイグレーションが可能となった。

 こうした機能によって、管理者はユーザーが気づくことなく、アプリケーションやサーバのアップグレードを行えるようになるという。

 可用性や災害復旧性を高めるべく、WAN環境でのフェールオーバー機能も追加された。通常は同一クラスタ内においてセッション情報を同期レプリケーションするのだが、新しい機能では、セッション情報を非同期でデータベースに書き出し、データベースのレプリケーション機能を利用してデータ同期を行えるという。

Apache BeehiveやSpring Frameworkもサポート

 新しいWebLogic Server 9.0では、J2EEだけでなく、Apache BeehiveやSpring Frameworkのようなオープンソースのプログラミングモデルもサポートされた。どちらも再利用性の高い「部品」として実装し、SOA(サービス指向アーキテクチャー)によるアプリケーション開発を容易にしてくれるアプリケーションフレームワークといえる。

 BEAは昨年5月、Beehiveをオープンソース化している。コミュニティーの力を借りながら部品の開発を促進させ、ミッションクリティカルな業務の運用環境ではWebLogic Serverを採用してもらおうという狙いがある。

 保阪氏は、オープンソースの運用環境と比較して新しいWebLogic Serverが約3倍のパフォーマンスを叩き出す点を指摘し、「TCOを考えれば、ミッションクリティカルな業務の運用環境ではオープンソースは選択肢にならない」と話す。

 WebLogic Server 9.0Jの価格は、これまでのバージョンと同様、1CPU当たり198万円からとなっている。

 先ごろ、IDCがまとめたアプリケーションデプロイメント・ソフトウェアベンダーのランキングでは、メインフレームやOS/400の環境を独占しているIBMが37%で首位、12%のBEAが2位につけている。

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