オリンピックを「触媒」にするLenovo

Lenovoはトリノ冬季五輪のスポンサー兼サプライヤーとしての活動を、知名度を高める格好の機会、そして中国事業とIBMから買収したPC事業を束ねる「触媒」になると考えている。(IDG)

» 2005年09月14日 09時15分 公開
[IDG Japan]
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 Lenovo Groupは来年イタリアで開かれる冬季五輪でのスポンサー活動と企業活動を利用して、今年IBMから買収したPC事業と中国事業の統合を加速しようとしている。同社幹部が明らかにした。

 「オリンピックを触媒として、Lenovoの2つの部分の統合を加速し、できるだけ早く1つの統合された企業にしようとしている」とLenovoのオリンピックマーケティング担当副社長フィリップ・デイビー氏は9月13日、電話取材に応えて語った。

 同氏によると、オリンピックに向けた全社的な活動には、世界中の社員がアクセスできるインターネットポータルが含まれる。社員らはこのポータルで、同僚がイタリアでオリンピックの準備のためにどんな仕事をしているかを見られる。同社は7月に、イタリアに行ってオリンピック会場に聖火を運ぶ手助けをする社員10人を抽選で選んだという。

 特に国際親善の点で、オリンピックが支持する価値は、LenovoがIBMのPC事業と中国事業を統合するために進めている取り組みと一致するとデイビー氏は語る。

 Lenovo(旧Legend Group)は5月に17億5000万ドルをかけたIBM PC事業の買収を完了した。中国で大きな成功を収めた同社は、それまでは母国以外ではほとんど製品を販売していなかった。IBMのPC部門を手に入れたことで、同社はDell、Hewlett-Packard(HP)に次ぐ世界第3位のPCベンダーとなった。

 同社が今やらなくてはならないのは、世界中で自社ブランドの認知度を高めることだ。オリンピックはこのメッセージを広めるのに格好の場だとデイビー氏。

 IBM PC事業買収のずっと前、2004年3月に、Lenovoは中国企業では初めて「The Olympic Partner (TOP) Program」に加わった。TOPプログラムメンバーとして、同社は2006年のトリノ冬季五輪と2008年の北京五輪の公式IT機器・サービス提供会社となった。

 この18カ月間、Lenovoはトリノに30人を派遣し、国際オリンピック委員会(IOC)と協力して同社のコンピュータ機器を導入、テストしているとデイビー氏は言う。2月10日の開幕(閉幕は26日)までに「人員を60人に増やす予定だ」と同氏。数字にするのは難しいが、「数百人」のLenovo社員が、同社の機器が冬季五輪で最適に動くよう支援する業務に関わるという。トリノでオンサイト技術責任者を務めるのはワン・レイ氏で、冬季五輪の運営を円滑に進めることに最終責任を持つ。

 Lenovoは5000台以上のLenovoブランドPCと350台のサーバ、600台のノートPCで「Games Management Systems」「Games INFO2006 System」「Venue and Central Results System」「Commentator Information Syste」をサポートするとデイビー氏は説明する。これらハードは昨年、IBM PC事業の買収前から設置されていたものなので、IBMマシンではなく、中国からのものだという。

 デイビー氏は、約200台のIBM ThinkCenter PCとThinkPadがLenovoの7カ所のラウンジで使われる予定だと話す。デスクトップPCとノートPCの比率はまだ決まっていないが、大半はデスクトップになる見込みだという。これらのラウンジはオリンピック出場選手が電子メールや音楽ダウンロードなどを利用するための場所で、トリノ、セストリエール、バルドネッキアの3カ所の選手村と、トリノの報道センターに設置される。

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