FAT特許への希望を持ち続けるMicrosoft

MicrosoftのFAT関連特許2件が却下されたが、同社はこの問題が有利な形で解決されると楽観視している。

» 2005年10月05日 17時08分 公開
[Mary Jo Foley, Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 米特許商標局(USPTO)が、MicrosoftのFATファイルシステムに関連した重要な特許出願2件を却下した。だが同社の関係者は、最終的にはFATの特許権確保に成功するという希望を今も持っている。

 USPTOは2004年6月に、MicrosoftがFATに関して保有する特許を再審査することを明らかにした。FAT(File Allocation Table)とは、コンピュータとデジタル機器の間でメディアを交換するために使うフォーマット。

 この再審査は、同年4月にPUBPAT(Public Patent Foundation)が行った再審査請求を受けてのものだった。PUBPATは、「不当に認可された特許、不健全な特許政策による害から市民を守る」ことを使命とする非営利団体。

 同年9月、USPTOは最初にMicrosoftのFAT特許クレームを退けた

 そして今週、USPTOは、FATに固有のロングファイルネームに関連したMicrosoftの517号と352号特許を却下した。

 Microsoft関係者は、今回のUSPTOの判断は、発明主体の問題が原因だとしている。

 「審査官は、発明者として挙げられている6人全員が、当該特許の発明者として正しく指名されていることを示す証拠を要求した」とMicrosoftの担当者は書面による声明で述べている。

 「Microsoftには審査官の要求に応えて証拠を提出する機会があり、依然としてこれらの問題が有利な形で解決されると楽観視している」と声明文には記されている。

 同社関係者は、USPTOが先行発明を根拠に特許を退けたわけではないため、同社の反応は強気だとしている。実際、同社の事業開発ディレクター、デビッド・キーファー氏によると、USPTOは、PUBPATが提出した先行技術も含め、FATに関連したすべての先行発明の申し立てに対し、同社に有利な判断を下したという。

 PUBPATの担当者に、今回のFATをめぐる新たな展開についてコメントを求めたが、方向掲載時までに回答を得られなかった。

 「これら(517号と352号)特許が優良な特許かどうかという問題は解決した。意見公募も行われ、これらの特許は有効とされた」(キーファー氏)

 キーファー氏は、先行技術の問題が解決したことで、FATの潜在的ライセンシーによるMicrosoftとの契約が円滑になるだろうと語った。Microsoftは2003年12月に、FATの他社へのライセンス供与を開始した。

 「これら特許の(先行技術の)問題について透明度が高まった」と同氏。

 同氏は、これまでにMicrosoftのプログラムを経由してFATファイルシステムのライセンスを受けた企業の数は分からないと話している。

 FATは一部のオープンソースソフトでも、Linux・UNIXコンピュータとWindowsマシン間でのデータ交換を容易にするために使われている。

 コロンビア大学法学教授でFree Software Foundationの顧問弁護士、そしてPUBPATの理事でもあるエベン・モグレン氏など、オープンソースコミュニティーの一部のメンバーは、Microsoftが今後、Linuxがこれら特許を侵害していると主張し、ロイヤリティを要求するかもしれないとの懸念を表明してきた。

 もしそうなれば、Linuxの中核が脅かされる恐れがある。LinuxはGNU GPLの下でライセンスされ、ロイヤリティ支払いが必要な特許技術が含まれる場合は配布できなくなる。

 「MicrosoftはFATファイルシステムを使うフラッシュカードやデジカメなどのメーカーにライセンスしようとしている。そんな中で、同社が6件のFAT特許――われわれはその中で最も古くて範囲の狭いものを攻撃した――の商品化に成功したら、『MS DOS FATファイルシステムにデータを読み書きするフリーソフトシステムを利用する者はすべてロイヤリティを払わなくてはならない』と主張するかもしれない。皆が低密度のリムーバブルメディアでこれらのシステムを使うことに慣れてしまっている」とモグレン氏は以前eWEEKに語った。

 しかし、FAT特許に関わる問題はまだ解決からはほど遠いように思える。それに、これまでに既に何度も予想外の展開が起きている。

 Microsoftは、1976年にFATを開発したと主張している。FATは至る所に普及し、データの保存や、コンピュータとデジカメ・USBメモリなどのデジタル機器の間でのデータ交換に使われている。

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