歴史ある学校がWindowsを脱却

133年の歴史を持つ英Mall Schoolは、予算の制約からプロプライエタリ・ソリューションから新しいLinuxシンクライアント・ネットワークに移行した。

» 2005年10月12日 17時36分 公開
[Tina-Gasperson,japan.linux.com]

 英国リッチモンドにある男子校Mall Schoolは、133年の歴史を持つ学校だ。同校のIT主任Sue Warrington氏は、同校のWindowsネットワークも同じくらい古いように感じていた。最近、同校は、長年使用してきた古い"ファットクライアント"PC一式を廃止し、新しいLinuxシンクライアント・ネットワークを購入した。同校の4〜13歳の生徒たちに必要と思われるあらゆるソフトウェアを含めても、プロプライエタリ・ソリューションよりずっと安価だった。

 ワーリントン氏は、同校の350人の生徒にコンピューティングを教えると同時に、「システムの面倒も見ている」。Windowsのライセンスを更新する時期がきたとき、同氏はコストの問題にぶつかった。予算の制約から、別のソリューションを見つけなければならなかったが、ワークステーションの数を削減することはできない。PCは高くて13台しかなかったのだ。

 2005年7月、ワーリントン氏は、オープンソースソフトウェア・ソリューションを専門とする地元のITコンサルタント会社Siriusに連絡した。夏休みが終わるまでに、Sirius社のプロジェクトマネージャ、ジョン・スペンサー氏の支援によって、同校は古いWindowsネットワークを最先端のLinuxシンクライアント・ネットワークに入れ替えた。このネットワークは、28台のワークステーションと、Linux Terminal Server Project(LTSP)を実行するサーバ1台で構成される。この新しいシステムの購入費用は1万5000ポンド未満だった。ワーリントン氏の見積もりによれば、これは、Windowsによる同等のシステムにかかるコストの60%だという。高いライセンス料もかからない。

 新しい28台のマシンのうち、10台は従来のデュアルブートPCで、Windows XPを使用して同校の学校事務用ソフトウェアを実行できるようにした。それ以外のワークステーションは生徒が使用するシンクライアントで、サーバが制御するソフトウェアパッケージにアクセスできる。シンクライアントには、ハードドライブ付きマシンより優れた点が多い。保守コストは少なく、ダウンタイムは短く、管理作業にかかる時間も少ない。Mall校にとっては、電気代が安くなるというメリットもある。同校では、年間1000ポンド以上の電気代節約になると見込んでいる。

 ワーリントン氏によれば、生徒たちが新しいシステムに慣れるのに時間はかからなかったという。「生徒たちはあっという間に覚えました。OpenOffice.orgを使い始めてすぐに多くの機能は同じだと理解したんです」ワーリントン氏も気に入っている。「オープン環境にしてうれしく思っています。この方がずっとスムーズに使えます」

 ワーリントン氏のシステム管理タスクの多くは、LinuxにしてWindowsネットワークのころより楽になった。たとえば、「新しいユーザーの追加はずっと簡単になりました。たったの数秒でできてしまいます。前の環境ではもっと時間がかかっていました」

 Mall校ではOpenOffice.orgスイートのほか、Scribusデスクトップパブリッシング、GIMPTux PaintFirefoxEvolutionTuxTypingなどを使っている。ワーリントン氏は満足だ。「前よりずっと安定しています。しかも全部フリーなのです」

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