GoogleとSun Microsystemsの両社がツールバーとSunのオープンソース・ソフトウェアの共同研究開発を始めるが、これは世界を変革するような開発とは別物だ。
ジョナサン・シュワルツ(Sunの社長兼最高執行責任者)氏の10月1日付けBlogエントリあたりから前宣伝めいたものが流されていたので、GoogleとSun Microsystemsの「戦略的提携」の発表は何か大きな意味を持っていたかもしれないが、両社とも何をするつもりなのかあまり明らかにしていない。
エリック・シュミット氏とスコット・マクニーリー氏(それぞれGoogleとSunの最高経営責任者)の発表によれば、LinuxベースのJava Runtime Environment(JRE)のダウンロードでGoogle Toolbarを利用可能にし、いずれはSunのOpenSolarisオペレーティングシステムとOpenOffice.orgオフィス・ソフトウェア・スイートからツールバーにテクノロジを追加するつもりだという。
この提携を称して「これは大変なことです」とマクニーリー氏は言った。「NetscapeがJREのためにしたことを、JREがGoogle Toolbarのためにできるとわれわれは思っています」
シュミット氏もマクニーリー氏も、この提携が両社とその製品にとって「自然な流れ」であり、結果として消費者の選択肢が増えると見ている。
シュミット氏はSunの技術者だったころを振り返りながら、マクニーリー氏が「いつも相互運用性と標準プラットフォームのことで愚痴っていた」と語った。そしてこれはGoogleとSunを結び合わせることで活気づけられてきたのだと彼は信じている。
シュミット氏は「Javaは理想的なプラットフォームであることが判明した」と言って、「それは基本的に日常生活に埋め込まれている」と付け加えた。両社が「ツールバーへのJREの自然な拡張」を見出したとき、ツールバーとJavaをリンクすればユーザに多様なソフトウェア・オプションを提供できると思われた。
2人の最高責任者は詳細な内容にほどんど触れなかったが、その中で特に注目に値するのは、両社がツールバーとSunのオープンソース・ソフトウェアの共同研究開発を始めるという点だ。これは世界を変革するような開発とは別物だ、とシュワルツ氏のBlogには書いてある。
シュワルツ氏は数量と価値というビジネスの概念を結び付けながら、コンピュータ・ユーザにとってのブラウザの重要性を強調し、デスクトップ・アプリケーションの動作の仕方が変われば、脱デスクトップ・アプリケーションの動きが逆転するかもしれないと示唆している。
「価値がデスクトップ・アプリケーションに回帰しつつある……。ただし、ネットワークサービス・プラットフォームというアプリケーションの形で」とシュワルツ氏は書いている。「ユーザーのデスクトップ上で動作しながらもネットワークサービスに接続するような常駐ソフトウェアへの関心が復活している。これにはブラウザはいらない」
記者会見での騒ぎを大きくしたのは、彼が例として挙げていた次の記述である。「たとえば、Skype、QNext、Google Earthなどだ。Javaはどうだろう? OpenOfficeとStarOfficeは?」。いろいろな解釈が可能な最後の3つを別にして、両社はツールバーをかなりのソフトウェアになんとか融合させ、すべてがWebから実行されるようにするだろう。しかし、それはSunとGoogleが発表したことではない。
「われわれはWebから実行するOpenOfficeを発表するつもりはない」とシュミット氏は語った。「われわれはWebサービス・モデルの中にいる」
マクニーリー氏はあとで次のように付け加えた。「Microsoftを後追いするのではなく、顧客の使いやすさを追求するのです」
「皆さんはわれわれがどこに向かうのか、一日中あれこれと推測すればよろしいでしょう」とマクニーリー氏は言った。「われわれがしようとしていることは、両社の長所を合体させることなのです」
シュワルツ氏が言おうとしたように、マサチューセッツ州政府のオフィス・ソフトウェアにOpenDocサポートを義務付けるという同州の最近の決定が、Googleと Sunが団結することと相まって、「世界中に轟いた銃声(shot heard round the world)」になるなら、記者会見で誰もそれを認めはしなかった。
シュミット氏は当日のテーマである「曖昧さ」に終始し、両社が取り組もうとするものにとってJavaが重要であるという主張を際限なく繰り返すだけだった。「この部屋にいる人たちにとっては、ここから始まる。そして、まだ終わっていない」
10月下旬には、Java Runtime Environmentのダウンロード・バンドルにGoogle Toolbarをダウンロードするオプションが含められる。このオプションは、Linux、Solaris、Mac OS X、およびWindows用のダウンロードに適用される。
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