ゲイツ氏とオジー氏、MS初のホステッドサービスを発表へ

5年先か10年先かは分からないが、今後の企業活動はWebベース中心に行われていくことが予想される。マイクロソフトは、そのための布石となるホステッドサービスの拡充を図っていくようだ。

» 2005年10月31日 13時27分 公開
[IDG Japan]
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 Microsoftの最高幹部らは、今週サンフランシスコで開催されるプレス/アナリスト向けイベントにおいて、同社初のホステッドサービスを披露する予定だ。アナリストらによると、これを皮切りに同社は今後、広範なホステッドサービスを投入する見込みだという。

 Microsoftのチーフソフトウェアアーキテクトのビル・ゲイツ氏およびCTO(最高技術責任者)のレイ・オジー氏は11月2日のイベントにおいて、同社が投入予定の各種新技術のプレビューを行うもようだ。これは、MicrosoftのPR企業であるWaggener Edstromが電子メールを通じて明らかにしたもの。

 アナリストらによると、両氏が披露するホステッドサービスは、Microsoftのソフトウェアプラットフォームのコンポーネントを利用するようユーザーを導くものであるようだ。Microsoftはすでに、ホステッドサービスを提供する方針を表明しているが、これまで計画の詳細を明らかにしてこなかった。

 Directions on Microsoftのリサーチディレクター、ロブ・ヘルム氏は、「Microsoftのソフトウェアを補完する企業向けサービスを発表するのではないか」と話している。

 「7月の財務アナリストミーティングで、同社幹部は『これは有望なビジネスだと考えている。他社の取り組みがそれを証明している』と言っていた」(ヘルム氏)

 ヘルム氏によると、MicrosoftはIntuitやSalesforce.comなどを追いかける形で、ホスティング方式のドキュメントデータ共有サービスおよびホステッドCRM(カスタマーリレーションシップ管理)サービスを提供する可能性が高いという。Intuitでは前者を「QuickBase」サービスという名前で提供しており、Salesforce.comは自社の社名を冠したサービスで後者を提供している。

 ホステッドCRMは、Microsoftにとって新分野だとは言えないかもしれない。というのも、同社のMSN部門は2000年に、「BCentral for Hosted Small Business Services」の一部として「ClearLead」と呼ばれるホステッドCRMサービスを提供していたからだ。しかし、このサービスは人気が出なかった。

 「あれは時期尚早だった。それにMSNは、中小企業市場で強いブランド認知力を持っていなかった」とヘルム氏は指摘する。

 「その後、Salesforce.comはホステッドCRMが有望なビジネスであることを実証した。そして今回は、Microsoftも顧客にアピールする方法をよく心得ている」(同氏)

 今回のイベントでは、ゲイツ氏とオジー氏がGroove Networksの新サービスについても説明するものとみられる。Grooveはオジー氏が創業した企業で、Microsoftが3月に買収した。新サービスの1つが、セキュアなファイル共有サービスで、企業ユーザーは信頼できるパートナーと共同作業を行うのに利用できる。

 Microsoftウオッチャーとして知られるフリーランスのWebアナリスト/ライターのリチャード・マクマナス氏によると、Microsoft Officeのホステッド版の計画が進められている可能性もあるという。マクマナス氏は自身のブログ「Web 2.0 Explorer」の9月28日付の記事で、中小ベンダーが提供するWebベースのプロダクティビティスイートを紹介するとともに、Microsoft自身もいずれ、このようなサービスを提供すると予想している。

 「Webベースのオフィスの時代が来るだろう」とマクマナス氏は記している。

 「ブロードバンドが普遍化すれば、Web機能が充実する。セキュリティと信頼性の問題は一段落した。最も重要なのは、企業がWebベースのオフィスに移行する準備ができるのはいつかということだ。5年先、10年先、あるいはもっと先かもしれない」(同氏)

 ニュージーランドのウェリントン在住のマクマナス氏は、10月28日の取材申し込みに応じなかった。

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