ハリケーンからのデータ退避、実態を語るNetApp

「データを退避させようとテープをトラックに詰め込んだが、避難する人たちの渋滞で大変な目にあっていた」。この夏、米国で猛威を振るったハリケーンの事例を挙げ、NetAppは同社製品による災害対策をアピールした。

» 2005年11月15日 20時16分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 この夏、米国南部は立て続けにハリケーンの猛威にさらされた。多くの家屋に浸水被害を出したが、同様に浸水を避けられなかったデータセンターもあったようだ。「ハリケーン『リタ』の上陸前にデータを退避させようとテープをトラックに詰め込んだが、避難する人たちの渋滞に巻き込まれ大変な目にあっていた」。米Network Appliance(NetApp)のAlacritus事業部ゼネラルマネジャー、クリシュナン・パドマナハン氏は顧客からこのような話を耳にしたという。

 NetAppは、ヒューストンに拠点を置く大手石油会社を顧客に持つ。この石油会社もハリケーンによる被害を想定しデータを退避させる判断をしたが、NetAppのストレージが備えるSnapVaultとSnapMirror機能を使ったディザスタリカバリシステムを構築しており、接続するカリフォルニアのデータセンターに効率良くデータを退避することができたという。「別の企業がトラックにテープを積んで退避させていたのを見たこの企業から感謝された」と同氏は胸を張る。

 同石油会社のヒューストンのデータセンターは、メキシコ湾に埋蔵されている石油探索のデータが蓄積されていた拠点。「サイズミックアプリケーション用のデータは、石油会社にとって非常に重要なデータ。多大な投資を行って海底の地殻を調査した重要なデータがハリケーンによって失われるのを防げた」と話す。

クリシュナン・パドマナハン氏 米NetAppのAlacritus事業部ゼネラルマネジャー、クリシュナン・パドマナハン氏

 NetAppのSnapVaultは、リモートサイトのオンラインバックアップを支援する機能だ。ブロックレベルで変更があった部分のみをバックアップすることで、リモートサイトを結ぶ細い回線でも効率的なデータ保護を可能にする。この差分からファイルシステムのフルイメージを構成することもできるので、バックアップにかかるストレージ容量を削減する効果もあるという。

 ドイツのある銀行では、これらの点を評価して、1000を超えるすべての支店で行っていたテープバックアップをSnapVaultによる集中的なディスクバックアップに切り替えた実績もある。「支店ごとに行っていたテープの時代と比較して、地方の小さな支店のバックアップエンジニアのスキルのばらつきや、コスト削減に効果を発揮している」という。

 一方SnapMirrorは、プライマリーサイトとリモートサイト間でレプリケーションし、データの分散を可能にする機能。SnapVault同様でも変更されたブロックのみを転送するため、回線に負荷をかけないという。「NetAppのストレージは共通のOSを使っているため、重要なデータはプライマリーストレージを使用し、それ以外はコストを重視してセカンダリーに格納するといった使い分けも可能だ」。

 最近のIDC調査では、NetAppはレプリケーションソフトの売り上げシェアを拡大させ、EMCに次ぐ第2位に飛躍している。同氏は「競合他社はマーケティングに優れるが、当社はプロダクトカンパニー。このような製品自体が評価された結果だ」と自信を見せた。

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