「コモディティサーバの高信頼化を目指す」、NECとStratusが提携強化

NECと米Stratus Technologiesは協業関係を強化し、共同で無停止型サーバを開発、販売していく方針を明らかにした。

» 2005年11月25日 19時55分 公開
[ITmedia]

 NECと米Stratus Technologiesは11月25日、協業関係を強化し、テレコムなどミッションクリティカルな分野をターゲットとした無停止型サーバを共同で開発、販売していくことを発表した。

 両社は6月に、NECの障害監視/復旧ソフト「CLUSTERPRO SingleServerSafe」と日本ストラタスの無停止型サーバ「ftServer」を組み合わせた高信頼性システムの提供に向け、提携を結んでいた

 今回の協業では逆に、NECのハードウェア/LSI技術とStratusの制御ソフトウェアやデザインを組み合わせ、LinuxやWindows Server 2003といったオープン系OSが動作するフォールトトレラントサーバを共同で開発、販売していく。両社の強みを組み合わせることで、開発を効率化し、製造コストの低減を図ることが狙いだ。

 ハードウェア本体の生産はNECが行い、StratusにOEM供給する形を取る。NECはさらに、Stratusの販売力強化を狙って9億ドルの出資も行う。

 フォールトトレラントサーバでは、CPUやメモリ、I/O装置やHDD、電源など、主要なハードウェアコンポーネントをすべて二重化し、かつ同期して動作させる。ハードウェアに障害が発生したとしても、当該ユニットを切り離して処理を継続させることにより、基幹業務に耐え得る高い信頼性や可用性を確保する仕組みだ。しかしCPUの高速化が進むにつれて、二重化されたCPUやメモリの間でいかに同期を取るかが課題として浮上してきた。

 NECでは新たに、フォールトレランス制御チップやノースブリッジを一体化した専用LSIを開発することで、この問題を解決した。「本当に壊れたのか、単純にタイミングがずれているだけなのかを判断できるようにする」(NECの執行役員専務、小林一彦氏)。このLSIにより、高速かつデュアル/マルチコア化が進んだ次世代CPUでも正常性の判断を行い、誤作動を防げるという。

 小林氏は「ハードウェアの故障率を見ると、メーカーを問わず1年半〜2年に1度は故障が起きるというペースだ。一度故障が起こればシステムは何時間か停止する上、部品交換のために人を呼び寄せたりと、お金と時間の大きなロスが起こる」と述べ、両社が提供するフォールトトレラントサーバはこういった場面への解決策になるとした。

 NECでは2006年初めをめどに新LSIを開発。協業の成果となる無停止型サーバは2006年下半期に出荷される予定だ。

 旧タンデムに代表されるようなメインフレームからの移行ではなく、「コモディティサーバの高信頼化を目指し、Windowsの領域でノンストップを実現していく」(小林氏)。2005年時点では両社合わせて年間3200台の出荷だが、「2008年には現在の3倍以上の1万1000台の出荷を目指したい」(小林氏)という。

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