分散拠点のファイルサービス管理にも乗り出すブロケードBrocade Conference 2005 Tokyoレポート

ブロケードの新製品WAFSは、Windows Server 2003 R2と連携することで、これまで管理が面倒だった小規模拠点のファイルサーバの管理を容易にしようとしている。

» 2005年12月13日 09時04分 公開
[ITmedia]

 ブロケード コミュニケーションズ システムズは12月9日、都内のホテルで「Brocade Conference 2005 Tokyo」を開催した。SANスイッチ「SilkWorm」を用いたFC SAN(Fibre Channel Storage Area Network)を展開してきた同社だが、新シリーズ「Tapestry」ではリモート拠点に散在するファイルサーバの集中管理という領域へも足を踏み入れる。

 既報のとおり「Brocade Tapestry Wide Area File Services」(WAFS)は、拠点ごとに個別に運用されているファイルサーバをデータセンター1カ所に集約して、全社レベルの集中管理を可能にする製品だ。拠点にはファイルサーバの代わりにWAFSを設置、この装置が常に最新のファイルをキャッシュ、遅延やパケットロスに強い独自プロトコル「SC/IP」を利用してWAN経由の高速ファイル転送を可能にする。これにより、拠点ごとにファイルサーバをいちいちバックアップするといった管理負荷を軽減できるという。

小宮崇博氏 ブロケード システムエンジニアリング統括部、統括部長の小宮崇博氏

 WAFSは、負荷の高いWAN通信を削減して高速ファイル転送を実現するため、WAN最適化技術と混同されがちだ。しかし、ブロケード システムエンジニアリング統括部、統括部長の小宮崇博氏は「WANの最適化ソリューションは、情報を圧縮できても、そこを通るデータの量を調整できない。やり取りが増加すれば、それだけレスポンスタイムも落ちてしまう」と話し、通常のWAN最適化製品との違いを強調する。

Windows Server 2003 R2との完全な互換性がポイント

 WAFSは「Windows Storage Server 2003」をプラットフォームに採用しているのも特徴だ。2006年2月に予定されている「Windows Server 2003 R2」とも完全な互換性を確保しているという。

 そのWindows Server 2003 R2でも拠点のファイル共有を促進する機能が強化される。マイクロソフト Windows Server製品グループの中川哲氏によると、その1つが「DFS名前空間機能を強化した」という点だ。

中川哲氏 マイクロソフト Windows Server製品グループの中川哲氏

 通常、拠点のフォルダを作成する場合、例えば大阪支店であれば「\\Osaka01\contents」「\\Osaka02\contents」といったように追加していく。しかし、これでは拠点の数やフォルダの数が増えるほど複雑になり、ファイルがどこにあるのか管理がしにくい。これを仮想的な名前空間によって1つの名前空間に集約することで、解決しようというわけだ。

 「ブランチオフィスで勝手に立ち上がったファイルサーバの内容を常に把握するのは、非常に困難だ。仮想的なファイルサーバを作成し、そこに各支店のフォルダをマウントすれば、フォルダの管理を一元化できる」と中川氏。

Windows Server 2003 R2の強化ポイント Windows Server 2003 R2で強化される拠点向けファイルサービス

 このほか、Windows Server 2003 R2では「Remote Differential Compression」(RDC)も強化する。今まで同機能は、ファイルの作成や修正のある度にデータを上書きしていた。しかし、これでは容量の大きいファイルになると、どうしても多くのトラフィックが発生し、負荷が掛かる。これをR2では、ファイルをブロックに分割、データの挿入や削除、再配置など変更点だけを複製することでトラフィックを抑える。

 「2MバイトのPowerPointファイルのタイトルだけを変更したとしても、これまでは2Mバイトのトラフィックが発生した。だが、R2からは変更を行ったタイトル分の60Kバイトのみに抑えることが可能になる」(中川氏)

 WAFSとファイルサービスが強化されるWindows Server 2003 R2を環境に応じて使い分けることで、拠点のファイルサービスの管理は容易になりそうだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ