「2007年」のインパクトは2000年問題よりはるかに大きい――SAP玉木氏構造改革としての2007年問題(2/3 ページ)

» 2006年01月03日 09時45分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

2000年問題よりはるかに大きいインパクト

ITmedia 「2007年問題」に対して、「現実には何も起こらない」という意見もあります。この言葉の実際のインパクトをどう考えますか?

玉木 2007問題は、時限爆弾ではありませんが、インパクトは2000年問題よりもはるかに大きいと考えています。なぜなら、ITに限った話ではなく、それが「戦後の仕組み」の終わりを意味しているからです。例えば、日本がつくってきた設備や製造工程に関する知識、ネジの締め方に至るまで、仕組みそのものが壊れようとしていることは確かです。ただし、それは緊急を要するものではなく、構造を変えるべく漸次対応するべき問題であるわけです。

ITmedia 2007年を境に終わろうとしている世界を「旧」、その次に始まろうとしているものを「新」とした場合、それぞれの世界を支える具体的な技術はどんなものでしょうか。

玉木 重要なのは技術そのものではありません。COBOLからJavaへの流れといったこととは違います。実態は、「技術中心型」から、「仕組み中心型」へとパラダイムが転換していることにあります。

仕組み中心型への転換

 技術中心型の世界では、ある特定の技術に最適化した形で人や組織などが構成されていきます。すると、結果として、「技術閉鎖主義」という弊害が生まれます。特定の技術に特化していくことで、次第に固有の世界ができ上がり、やがて、外の世界と会話ができなくなっていきます。それが、「旧」の世界の本質と言っていいでしょう。

 一方で、「新」の本質は、より俯瞰思考であり、仕組み中心型と言えます。あくまでも実現したいものは、ビジネスを支える仕組みであって、その仕組みをどう設計するかを考えることが最も重要になります。そのため、場合によっては、「(ある機能の実現を)自分たちではやらず、オフショア化する」ことも選択肢になります。ただし、1つだけ担保しなくてはいけないことは、それがオープンな技術で実現されることです。オープンであることで、自社内外を問わずシステムを連携できるからです。

 逆に、社内でつくる機能は、戦略的な重要性で決めることになります。こうした判断を求められることが「新」の本質になるのです。

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