プログレッシブ・システムズは、周囲の電波環境を検査して無線盗聴器や盗撮カメラの存在を検出する「Space Securityシステム(SS-700)」の販売を開始した。
プログレッシブ・システムズは1月31日、無線盗聴器や盗撮カメラの存在を検出するシステム「Space Securityシステム(SS-700)」を発表した。盗聴器や盗撮カメラが発する電波をキャッチし、その存在を警告するだけでなく、どういった会話や映像が記録されていたかを確認することも可能だ。
プログレッシブの代表取締役社長、佐野充氏によると、SS-700がまずターゲットとするのは金融機関やホテル業界だ。金融機関では、ATMコーナーに盗撮カメラが設置されて暗証番号を盗み取られ、不正に預金を引き出されるという事件が複数発生している。またホテルでは、スイートルームなどに盗聴器やカメラが仕掛けられ、恐喝や詐欺などのタネに悪用されるケースがあるということだ。
盗聴器やカメラの技術進歩は著しく、「ACアダプタ型」「電卓型」など、一見しただけではそれと分からないような機器が数多く出回っている。しかし、今のところ「盗聴や盗撮、それ自体は法律違反ではない」(佐野氏)。また、それによってもたらされるリスクの大きさにも関わらず「企業側もその深刻性を理解していない」と同氏は述べた。
SS-700は、周辺の1MHz〜6GHz帯の無線電波を観察し、一定の出力以上の不審な電波を検出する。これにより、盗撮カメラについては10メートル、盗聴器は50メートルの範囲で検出が可能だ。原理上、有線接続のカメラやメモリ内蔵型の機器は検出できないが、盗撮カメラの場合、「99.9%は1.2GHz帯の無線のものが用いられている」ことから、かなりの程度効果はあるとしている。
導入の際にはまず、携帯電話や無線LANなど、正しく用いられている周辺の電波環境を把握し、データベースとして設定する。これをベースラインとし、独自のアルゴリズムを用いて不審な電波が飛んでいないかを常時チェックする仕組みだ。これにより、検出率を向上させ、携帯電話などによる誤検出の確率を減らしている。検出された周波数帯を指定すると、当該データのデコードを行って記録された音声や画像を再生することも可能だ。
インターネットを通じて、1カ所で最大500台までのSS-700の集中管理、監視を行える点も特徴だ。Microsoft Windows 2000/SQL Serverで動作する監視サーバから、最新の盗聴器/盗撮カメラに関する情報をSS-700側に配信することもできる。
同社では、銀行、あるいは銀行が管理を委託しているATM監視センターなどに管理サーバを置く使い方を想定している。異常検出時にはその場で指示を出せるほか、通常の監視カメラと併用することで「不審な電波を発見したら、その前後の監視カメラ画像をチェックするといった形で、不審者の特定が容易になる」(佐野氏)
プログレッシブではSS-700を、パートナー経由でレンタル形式で提供していく計画だ。個人や企業向けにセキュリティサービスを提供する警備保障会社などへのOEM提供も検討しているという。料金は、1台当たり月額2万円から5万円程度で、すでにりそな銀行での導入が決定しているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.