ReactOS、開発を中断してソースコードを監査(2/2 ページ)

» 2006年02月06日 12時50分 公開
[Stephen-Feller,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine
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 SFLCの会長エベン・モグレン氏は、弁護士の守秘義務を引いて、両プロジェクトとの接触の有無については明かせないと述べた。SFLCの役割についての沈黙は言わずもがなである。

 しかし、一般論として、既製のプロプライエタリ製品をまねる方法は幾つかあると言う。例えば、ソフトウェアの動きを単純に観察したり、あるいは動作を調べるアプリケーションを用いたりして、リバースエンジニアリングを行い、それによって得た知見を実装する方法。あるいは、プロプライエタリなソフトウェアのコードの一部をいったんそのまま利用し、その後、徐々に自作のコードに置き換えていく方法もある。

 「模倣したソフトウェアの動作からその製作方法を推測することはできません」

 また、Microsoftの場合、Windowsコードの使用はすべて不正であることは明白であり、企業秘密であることを知らなかったと主張する余地はほとんどないだろうと言う。「グレーゾーンは、コード自体の流用はないが、コードから得た情報――ノウハウ――が使われている場合です。……、慎重なプロジェクトなら、クリーンルーム方式を厳格に実行しているはずです」

 ReactOSは、Windowsコードがプロジェクトに紛れ込まないよう対策を強化する予定だ。エドワーズ氏によれば、プロジェクトには世界中の開発者が参加しており、それぞれ自国の法に従っているためにいろいろな問題が発生するのだという。

 流出したWindowsコードを見たり調べたりしたことがあると分かっている開発者がReactOSから排除されることはないだろうが、エドワーズ氏は、少なくとも、Windowsソースコードで見たことのあるものに類似した機能にかかわることは許されないだろうと言う。

Microsoftはノーコメント

 エドワーズ氏によると、今回の問題についてReactOSとMicrosoftとの間に公式の接触はなく、予想しうる法的問題についてプロジェクトのメンバーが接触を試みているが、これまでのところ応答は得られていないという。

 Microsoftの広報は、編集部に対しても、流出したWindowsコードやReactOSの現状あるいはReactOS自体についてのコメントを断った。

 しかし、Microsoftが幾ら論評を拒否しても、ホワイト氏は、Microsoftのシニアエグゼクティブ数名がWineのメーリングリストを見ていることを知っており、両プロジェクトや同様のプロジェクトに関心を持っているのは確かだと言う。

 だが、WineにしてもReactOSにしても、Windowsコードの混入を防ごうとしている限り、Microsoftに追求される可能性はほとんどないだろうと言う。

 「これは(Microsoftにとって)危険な領域です。彼らは独占企業と宣告されており……恐れから自制します。私には、(Microsoftが)提訴に踏み切るとは思えません」

 一方、Moglenは、ReactOSの開発者たちが今抱えているような問題はソフトウェア開発チームにとって共通の問題であり、そのため監査を要するような問題がなくても安全のために定期的にコードを監査するよう勧めているのだと言う。

 「よくあることです。特別な理由があって起こるわけではありません。フリーソフトウェアやオープンソースソフトウェアに固有の問題ではなく、どの業界でも、どのソフトウェア企業でも起こりうることなのです」

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