ゴミの山が「宝の山」に変わる?コンタクトセンターが企業の顔になる(1/2 ページ)

コンタクトセンターからは毎日、膨大な「ゴミ」が出る。といっても、環境に負荷を掛けるゴミではなく、毎日数千、数万と処理される応答記録のデータのことである。

» 2006年02月21日 08時38分 公開
[土屋晴仁,ITmedia]

 オンラインムック「コンタクトセンターが企業の顔になる」1回目2回目3回目4回目に続き、コンタクトセンターの在り方を探る。

土屋晴仁(編集者/ジャーナリスト)

 コンタクトセンター(CC)からは毎日、膨大な「ゴミ」が出る。といっても、環境に負荷を掛けるゴミではなく、毎日数千、数万と処理される応答記録のデータのことである。これまでそのほとんどは見向きもされなかった。しかし近年、このゴミこそ「宝の山」ではないか、と考える企業が多くなってきている。

応答記録の中からビジネスのヒントが見つかる

 あるPC周辺機器メーカーのマーケティング担当者は「これまで製品に関するQ&A集などは、開発チームが作り、Webでも同じ内容をFAQ(フリークエントリー・アスクド・クエスチョン)として掲載してきました。しかし、実際に製品を使っているユーザーがCCに投げ掛ける質問には想定外のものが含まれています。そこで、初めて自分たちの説明不足に気付かされてFAQの内容を更新する、というようなことを繰り返してきたのです」と話す。

 「でも、Webユーザーが増えているのだから、FAQをもっと充実すれば、ユーザーによる自己解決率は上がるだろう。それは、CS(顧客満足度)向上にもなると考え、CCに溜まった応答記録をすぐには捨てずに、分析し直すことにしたのです」とさらに続けた。

 普通、応答記録はオペレーターが対応後にメモや記憶を基にレポートとして作成し、マネジャーなどに回覧される。だが、問題は量である。日に数十件程度ならともかく、数千、数万のレポートを人手で集計、分析することはできない。

 そこで、注目されているのが「音声テキスト入力」と「テキストマイニング」だ。前者は、レポート作成そのものの作業を自動化できる。後者は、膨大なテキストデータからあらかじめ設定したキーワードを抜き出し、その偏りや時系列の変化などを分析、表示できるようにするもので、CC分野に限らず広く使える技術だ。市販のシステムには、キーワード検索機能だけの簡単なものから、多角的な分析、表示機能を備えるものまで、いろいろある。

 CC分野では、こうしたテキスト分析ツールをFAQ作成に活用して効果を上げているケースが少なくない。パイオニア製品のサポートを担当するパイオニアサービスネットワークでは「自己解決率が70%にも向上した」という。こうなるとCCの負担が軽減し、より密度の濃い対応ができるようになる。その甲斐あってか、同社は、『日経ビジネス』が行った「2005年度の薄型テレビ、DVDレコーダに関する顧客満足度調査」において、アフターサービス部門で第1位に輝いた。

テキストマイニングを実践しているのは27%

 このように、CC業務の基本が「どんな客が、いつ、どんなことで質問や相談や苦情を持ち込んでいるか」を把握することにあるのだとすれば、これからはテキストマイニング技術の導入は避けて通れない。さらに、その分析結果はCC部門だけでなく、開発、サポート、営業、経営など全社的に共有、活用されて初めて意味を持つ。今や、CCに期待されているのは、市場、顧客の目や耳としての機能なのだ。

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