「OpenDocumentフォーマット」はオフィス環境の何を変えるのか?(1/2 ページ)

IBMのWorkplaceで採用、ジャストシステムの一太郎がサポート、英国での大規模採用などもOpenDocumentの大きなニュースとなっている。XMLを基としたこのドキュメント規格はどのような構造を持ち、どのような可能性があるのか?

» 2006年02月28日 05時26分 公開
[可知豊,ITmedia]

 「OpenDocument」というファイルフォーマットについてニュースで目にした人は多いだろう。しかし、その規格内容、そして影響力までを理解している人は少ない。

 まず最初に挙げておくべき「OpenDocumentとは何?」との疑問。ここでは結論を簡潔に述べておこう。ワープロや表計算、プレゼンテーションといったオフィスアプリケーションのファイル形式を定めたものがOpenDocumentであり、OpenDocumentフォーマットは、統合オフィスソフトのファイルフォーマット規格だと言える。

 ワープロや表計算ファイルの標準化により、ツールやプラットフォームが異なっても、文書のやり取りが容易になることがオープンなドキュメント規格が望まれた背景だ。文書や表計算の作成に、特定のツールに依存しなくてもよいわけだ(Microsoft Officeだけでなく、OpenOffice.orgにも依存しないことを意味する)。

 これまでにエンタープライズチャンネルでは、「OpenOffice.org 2.0が変えるオフィスアプリ基準」でOpenOffice.orgの機能紹介を行ってきたが、この記事では中立なドキュメントフォーマット、そして各社による支持表明が活発化する理由について探っていく。

オフィススイート標準フォーマットの登場

 2005年5月、eビジネス標準を策定する国際的なコンソーシアムOASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards、関連リンク)は、OpenDocumentフォーマットv1.0をOASIS標準として採択した。

 OpenDocumentの正式名称は意外と長く「OASIS Open Document Format for Office Applications」となっている。通常はこれを略し、「OpenDocument」または「ODFファイル」と表記することが多い。仕様内容はOASISで公開されており、ロイヤリティフリーで利用できるものだ(関連リンク)

 ODFは、OpenOffice.org 1.0のファイルフォーマットを元に開発されたことでも知られている。これにカスタム定義スキーマと呼ばれる拡張が追加され、OASIS標準にしたものが現在のOpenDocumentフォーマットv1.0である。

 OpenOffice.orgでは、バージョン2.0およびバージョン1.1.5から、ODFをネイティブなファイルフォーマットとして採用しているのが現状だ。また、ODFを採用しているのは、OpenOffice.orgだけではない。次に挙げるように現在では多くの企業やサービスが対応表明している。

 OASISは、国際標準化委員会(ISO/IEC JTC1)にオフィススイート規格案を提出していることも注目だ(関連リンク)。この規格案は、早ければ2006年の6月に採択される模様である。ODFは、机上の空論でもペーパープランでもなく、すでに実用化された技術仕様であることが分かるだろう。

XMLファイルをZIP圧縮、これがOpenDocumentの実態

 ファイル構造についても触れよう。OpenDocumentは、複数のXMLファイルと画像などのバイナリファイルをZIP圧縮したものになっている。そのために、XMLデータの扱いやすさを残しながら、画像などのバイナリデータを埋め込み、ファイル容量も抑えることができる。schema言語には、RELAX NGを採用している。

 OpenOffice.orgで簡単な文書を作成し、そのファイル構造を調べてみよう。この文書は、タイトル、本文、箇条書き、画像を持っている。タイトル部分に、フォント・サイズ・太字・フォント色を設定している。

OpenOffice.orgでサンプル文書を作成したところ

 OpenDocumentファイルは、OpenOffice.org 2.0で作成した。この時、[ツール]→[オプション]で、[読み込みと保存]→[全般]にある“XML形式でサイズを最適化する”のチェックをオフにしておくと、改行とインデントにより読みやすいファイルとして出力される。

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