オンチップ仮想化は、VMwareやMicrosoftなどのベンダーが使用しているHypervisorソフトウェアのタスクの大半をハードウェアレベルで処理するための技術で、これにより仮想化環境の信頼性とパフォーマンスが向上する。
ゲルシンガー氏とともに壇上に立ったVMwareのダイアン・グリーン社長は、後に行われたインタビューで、仮想化をハードウェアレベルで実現することが、この技術の発展を促進するカギになると語った。
「マシンをファイルのように扱うことができれば、仮想化によって多くのことが可能になる」とグリーン氏は語る。
ストレージ業界大手のEMCの子会社でカリフォルニア州パロアルトを本拠とするVMwareでは、自社の「VMotion」技術の自動化機能を拡張する考えだ。
VMotionは、システムを停止させずに仮想マシン間でワークロードを移動することを可能にする技術。グリーン氏によると、年内に予定されているVMotionの次期アップグレードでは、この機能の自動化がさらに進められる見込みだ。今のところ、仮想マシン間でワークロードを移動するには、スクリプトを使用する必要がある。アップグレード版では、この作業が自動化されるという。
「加えて、ソフトウェアも改善され、クラスタ管理機能によって自動フェイルオーバーが可能になる」と同氏は話す。
一方、ユタ州リンドンに本社を置くデスクトップ管理ソフトウェアベンダーのAltirisも、アプリケーションの仮想化に力を入れるなど、仮想化分野への進出準備を進めている。Altirisで戦略アライアンスを担当するディレクター、ジェフ・アドコック氏によると、同社の「Software Virtualization Solution」はすでに初期導入が進んでおり、2006年上半期中には製品を発表する予定だとしている。
Altirisのソリューションは、アップデートやパッチが必要になった場合にコンフリクトのリスクを避けることにより、ソフトウェアのテストと開発の効率化を実現するというもの。Altirisでは、無償の「個人使用」版を提供し、ユーザーが製品の購入を決める前にソフトウェアを試すことができるようにする予定だ。
アドコック氏によると、Software Virtualization Solutionは、IntelのVT技術もサポートするという。
「Intelの仮想化技術とAltirisのソフトウェアを組み合わせれば、ユーザーが自分のシステムに対して望む柔軟性を許可しつつも、管理者はPCのセキュリティ/管理をきめ細かくコントロールすることができる。モバイルコンピューティングへの移行が進んでいるため、セキュリティの強化に対する要求と自由の拡大に対する要求との間の緊張が高まっている」とアドコック氏は語る。
Altirisの技術を利用することにより、管理者は現在ネットワーク上で利用されているセキュリティ機能をシステムに適用し、PCが使われていないときでもネットワークを防護することができるという。保護された仮想環境内で動作するAltirisのソフトウェアでは、ネットワークに対するリスクを常時チェックし、コンピュータを接続しても安全であることが確認されるまでネットワークから切り離しておくことが可能になる。
「この機能は、VTによって可能になる」とアドコック氏。
仮想化をテーマとしたパネルディスカッションでは、MicrosoftでWindowsの仮想化を担当する製品ユニットマネジャー、マイク・ニール氏が、同社のVirtual Serverソフトウェアの次期バージョン「Virtual Server R2 SP1」ではIntelのVT技術がサポートされると述べた。クラスタ機能も強化され、予定された(あるいは予定外の)ダウンタイムの際に役立つという。
ニール氏によると、幅広い選択肢を望むユーザーが要求してきたLinux OSのサポートも強化される。
「Windows Virtual Serverの次期版では、Linuxも対等な仲間として迎え入れられる」(同氏)
Virtual Server R2 SP1は、4〜6月期にβテストに入るという。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.