ファイアウォールに取って代わる? 急拡大するUTM市場UTM――急成長する中堅企業の「門番」(2/2 ページ)

» 2006年04月04日 07時30分 公開
[井上猛雄,ITmedia]
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全方位から市場参入するセキュリティベンダー

 当初からUTM製品を狙い撃ちで投入しているベンダーには、フォーティネット、アスタロー・アーゲーがある。中でもフォーティネットは、独自開発のASICを採用した高性能なアプライアンスを提供する、UTMの老舗的な存在のベンダーである。アスタロー・アーゲーは国内では後発となるが、ワールドワイドにおいてその知名度と評価は高い。

 一方、ファイアウォールベンダーからUTM市場へ参入したベンダーは、最も数が多い。もともとファイアウォール機能をベースに、さまざまなセキュリティ機能をオプションで提供し、それらを統合する形でUTMが登場してきたという背景があるからだ。代表的なベンダーとして、ソニックウォール、ウォッチガード・テクノロジーズ、ジュニパーネットワークス、セキュアコンピューティング、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズなどがある。

 ソニックウォールはSMB向けのUTM分野に強く、特に小規模事業者向けの低価格なUTM製品を投入し、シェアを急速に伸ばしている。ウォッチガード・テクノロジーズも、ミッドレンジ製品の市場シェアは高い。また、ジュニパーネットワークスは「NetScreen」シリーズを中心に幅広く展開している。セキュアコンピューティングは、官公庁や大企業向けのハイエンド製品に強いベンダーだ。そして、ファイアウォールの老舗ベンダーとして有名なチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは、UTM分野では小規模事業者に的を絞った低価格モデルを発売している。

 IDS/IPS(不正侵入検知/防御)分野からの参入組としては、インターネットセキュリティシステムズやTippingPointがある。インターネットセキュリティシステムズはIDS/IPS分野において世界的なトップベンダーだが、Webフィルタリングベンダーなどを買収し、セキュリティ対策の統合に向けて積極的な動きを見せている。一方のTippingPointは、3comによって買収されて同社の一部門となっているが、以前から得意としてきたIPSをベースにしたUTM製品を最近になって発表している(販売代理店はテリロジー)。

 そしてウイルス対策ベンダーからは、シマンテックがUTM製品を投入している。同社は、アンチウイルス/アンチスパムなどの製品を中心にビジネス展開しているが、フォーティネットと同様に早期からセキュリティ機能の統合に取り組んでいた。当然ながら、UTMアプライアンスにおいても同様にアンチウイルス/アンチスパム機能に定評があるため、特にこれらをUTMの機能の中で重視する場合に、押さえておきたいベンダーであろう。

 最後に、いずれの分類にも入らないベンダーとして、シスコシステムズが挙げられる。同社はUTMベンダーとしては後発となり、2005年から本格的に市場参入した。どちらかといえばUTM市場をターゲットにしたというよりも、同社が唱える「自己防衛型ネットワーク構想」の一環として適応型セキュリティを実現するアプライアンスを開発した結果、それがUTMアプライアンスに該当する製品になっていた、という経緯だ。同社はネットワークベンダーのガリバー的な存在であるだけに、今後の動向が大いに注目される。

 次回は、ゲートウェイレベルでのセキュリティ対策とUTMの役割について解説する。

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