「高機能よりも管理が容易な方がいい」電子カルテ導入を機にSANを構築した小児病院

米サンディエゴにある小児病院「Children's Hospital San Diego」は、メディカルレコードシステムの導入に合わせてSANを構築したという。そのためのストレージ製品の選択肢は「管理の容易さ」を重視したという。

» 2006年04月06日 18時21分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 ケアの質は患者の病院に対する評価を常に左右する。特に、子供が通う病院となればなおさらだ。米サンディエゴにある小児病院Children's Hospital San Diegoは、メディカルレコードシステムの導入に合わせて4年前にSAN(Storage Area Network)を構築。医療を支える情報システムを強化することで、競争力強化に取り組んでいる。また、医療業界にはHIPPAなどといった法規制も多く、ストレージの重要性が高まっている。「Storage Networking World Spring 2006」で、米国の病院におけるストレージインフラの取り組みを聞いた。

シェルドン・ヒクソン氏 Children's Hospital San DiegoのITオペレーション担当マネジャー、シェルドン・ヒクソン氏

 Children's Hospital San DiegoのITオペレーション担当マネジャーを務めるシェルドン・ヒクソン氏は、同社のメディカルレコードシステムについて「カッティングエッジな取り組みだった。メディカルレコードシステムを導入した当事は、まだ米国でもカルテの電子化を行っている病院は少なかった」と振り返る。

 メディカルレコードシステムを導入する以前の同社は、カルテを入れたカートを押して、病院内で利用している状態。誰の目から見ても非効率は明らかだった。同社はいち早くこの非効率をITによって取り除き、サービスの質向上を図ることを考えた。メディカルレコードシステムの構築当時はHIPPAが施行される前だったが、患者の情報の保持期間が定められており、17年間という期間保管できるインフラにする必要があったとも言う。

 そのためには、ストレージインフラの再構築が必要となった。そこで「HP StorageWorks 5000 Enterprise Virtual Array」を導入し、SANの構築に踏み切った。また、テープのアーカイブからでは特定の患者のデータを取り出すのに時間がかかり患者を待たせてしまうことになるため、FCディスクとATAディスクの特徴を備えたFATAによるハーフニアラインアーカイブも利用することにした。階層ストレージを構成することで、コストを抑えながらさらにサービスの質を向上させているという。ちなみにバックアップには、テープ装置「HP StorageWorks ESL9198 Enterprise Tape Library」を活用している。

 同社は特にストレージインフラの中核としてHP製品を選択しているが、このようなインフラの構築は必ずしもHP製品でなければできないというわけではない。「以前からHPのサーバを利用していたという理由もある。しかし、わたしの考えでは、どんな製品を導入しても実際にすべてのテクノロジーを使いこなせるというわけではない。EMCの製品はいい価格がするが、実際使いこなせるのは10%程度かもしれない。だったら、管理が容易な無駄な投資を発生させずに、早くコストを回収できる方がいい。それがHPだった」とヒクソン氏は説明する。

 今後は、このSANインフラで「Microsoft Exchange」など同社が利用しているアプリケーションのサポートも行っていく計画だ。同社はSANを活用して、これまでバラバラに存在していたストレージのコンソリデーションを図っていくという。

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