NewsForge これからの1年、Debianにとって最大の課題は何ですか?
タウンズ 大きな課題は、Debianに貢献したいと思っている人たちの希望をかなえる方法を見つけ出すことだ。この点でも、われわれの新しいメンテナプロセスが問題になってくるわけだが、本当に助けが必要な状況でいいアイデアをもらうのは難しいのだよ。それに、Debianのようなボランティアベースのプロジェクトでは、協力が得られるなら、そのすべてを活用していかなくてはならない。
NewsForge 今度は反対に、フリーソフトウェアプロジェクトとしてのDebianの強みは何ですか? また、その強みがDebianに追求できて、ほかのプロジェクトにできなかったのはなぜでしょうか?
タウンズ 純粋にボランティアベースのプロジェクトであり、従来から強いリーダーシップには頼らないことによって、プロジェクトは非常に多様性に富んだ存在になっている。開発者たちやそのスキルと経験、提供するソフトウェア、その対象とするシステムや使い方、どれを取っても多種多様だ。Debianでできそうなことを見つけてそれをやってみたいと思ったのなら、ただプロジェクトに参加すればいい。誰にも許可をもらう必要はない。
NewsForge etchはあなたの任期内にリリースされると思いますか?
タウンズ そう思っているよ。リリースマネジャーのアンディ・バース氏とスティーブ・Langsekには豊富なスキルと経験があり、etchのリリースに向けた計画も申し分ない。その上、インストーラチームとセキュリティチームの双方からサポートを受けていることも大きい。インストーラチームは既にetchのβ版を2回リリースしているし、セキュリティチームは来るべきリリースに絶えず取り組むサブグループを設けている。これにより、これまでのリリースを遅らせる原因になった2つの大きな問題は解決されるはずだ。etchの開発者は、身体中にスティーブ氏とアンディ氏に対する信頼がみなぎっていることだろうね。数カ月後には、予定どおりのリリースを確実にする重要な活動が始まっているものと期待している。
NewsForge 今回の選挙に投票したのは、投票権のあるDebian開発者の半数足らずだったと聞きましたが、これについてはどのようにお考えですか?
タウンズ 1つ考えられるのは、投票権を持つ開発者の数には、現在プロジェクトにかかわっていない開発者も含まれている、ということだ。しばらく活動を休止している開発者にまだプロジェクトにかかわる意思があるかを問い合わせるメールを送るのだが、最後に送ってからずいぶん時間が経っている。だから、現時点での本当の開発者数を把握するのは難しいね。
NewsForge Debianプラットフォームを3つの言葉でまとめるとしたら、と尋ねられて、「バイタリティ、リクルーティング、ディレクション」とお答えになりましたが、読者に分かりやすく説明してもらえますか?
タウンズ Debianは大規模なプロジェクトだが、さまざまなことについて議論や熟考を重ね、立てた計画の一部を漫然と進めるだけに終わらないようにすることで前に進むことができる。「バイタリティ」は、言いっ放しで終わるのではなく、実際に何かを実行することを表している。
「リクルーティング」は、まったくの未経験者がプロジェクトに加わるのか、プロジェクト内の経験者が新たな分野に移るのかに関係なく、新しい人たちを受け入れることを表している。
そして「ディレクション」は、このまずっと同じ方向を目指して活動を続けるのではなく、ユーザーの役に立てることを新たに考えながらソフトウェアをよりよいものにしていくことを表している。
それから、わたしが掲げた綱領の全容も参照してもらえるとありがたいね。
Debianをジョギングする人に例えれば、バイタリティは心臓の鼓動だ。われわれは力強く規則正しい鼓動を必要としている。リクルーティングは肺に当たるものだ。十分な量の酸素を手に入れれば、生気のない空気で活動しなくて済む。そして、ディレクションは頭脳だ。自分のしていることを絶えず把握していれば、路上の窪みにつまづいたり、車の前に跳び出したりすることはない。
NewsForge 質問にお答えいただき、ありがとうございました。Debian Project Leaderとしての新たなご活躍を期待しています。
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