BitsからServiceへ――イノベーションを加速する「オープンサービス」Sun Business .Nextリポート(2/2 ページ)

» 2006年04月20日 18時04分 公開
[木田佳克,ITmedia]
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 サポートが必要なため意外とトータルコストを要する。OSSによる開発の方が早い、という見解は誤解であるという。その一方で、OSSによる影響で大きくクローズアップされることになったサービスの広がりは、ソフトウェアに大きなイノベーションをもたらしていることに注目すべきだと言及している。

 ITにおける過去30年間の歴史上、ソフトウェア開発にはアイデアの発案から次なるステップでコードを書き始め、パッケージ化、そしてデリバリーを行うという形態が一般的だった。しかし、現在インターネット上で繰り広げられているビジネスモデルには、コードがデータセンターでバイナリ実行され、サービスがネットワークを介して提供される形態が勢いを見せている。このようなビジネスモデルの広がりは、真に受け取るべき最新動向の1つだと強調した。

 いかに早くエンドユーザーへサービス提供できるかが重要であり、従来のようにバイナリをビット提供するのでは遅い。そして、サービスとして提供することで「イノベーションのスピードが変わってくる」ことも大きなポイントであり、Sunはこの点に注目しているのだという。また、ソフトウェア開発におけるバグ修正などを反映させる反復サイクルは、複雑性が高まる現在、形態の変化が必然的に求められていることも根源となる理由の1つだと語っている。

 「サービスは継続的に提供されることでユーザーとの密な関係が生まれる。ユーザーとのインタラクションが常に発生し、そのサービス改良などは開発のスピードが速くなければ追いつくことができない。今後数年間でこの形態が主流になっていくだろう」(パパドポラス氏)

オープンサービスを支えるハードウェア

 ほかにも同氏は、仮想化について語りオープンサービスを支えるためには、サービス統合にハードウェアの整備も欠かせないことを強調した。

 サービスレベルでの予測性、堅牢さ、そしてセキュリティも満足するレベルで稼働し続けなければならず、システムデリバリーにも耐えうるパフォーマンス、さらにはSOAにつながるであろう「大胆な簡素化」が上位レイヤーの複雑さを支える上で重要なものになると語る。

マーク・アンドリーセン氏が設立したNingでSNSサービス運用にSolarisが選ばれたことを挙げた。Ningでは、Red Hat Enterprise LinuxとWindows Serverとの比較を具体的なコストで示している。先ごろ開催された「SAS 2006」でも、36カ月間のトータルコストを比較すると、SolarisとSun Fire x64の組み合わせがIntel+Linuxの1/2になるという。ディビット・イェン氏の講演でも強調されていたが、UltraSPARC IV+の優位さとしては、省電力がいっそうクローズアップされていくだろう

 また、コンピュータがコモディティー化したことで扱いが難しいという意見も多いが、“コンピューティング”こそがコモディティー化しているのだとパパドポラス氏は強調する。

 そして、「予見性はサービスの安定性を考える上で重要なもの」と同氏。例えば、東京に電力システムを再構築すると考えた場合、大容量な発電機などを新たに置くのではなく、エンジニアリングこそが重要視すべきポイント。インフラの中でどこに注力すべきなのか? エンジニアリングの上で構築すべきものが本質だという。

 このような試みがユーティリティの考え方につながっていくとパパドポラス氏は語る。その取り組みとして、CPU当たり1時間1ドルで話題となったコンピュータグリッド「Sun Grid」があるが、この分野も積極的なものの1つだ。

 例えば、物品配送などを挙げてみると、専用の車両を作るのが従来までの考え方であり、汎用的なトラックを使うことが次なる段階、そしてユーティリティコンピューティングに通ずる考え方であれば、トラックの配送サービスを使えばよいだろう、とパパドポラス氏は語った。

 「起きるのかどうか? なのではなく、いつ起きるかだ」(パパドポラス氏)

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