Ajaxも高速化、シトリックスがWebアプリ最適化製品を発表

シトリックス・システムズ・ジャパンはWebアプリケーション配信の高速化、最適化を行う「Citrix NetScaler System」を発表した。

» 2006年05月23日 20時58分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 シトリックス・システムズ・ジャパンは5月23日、Webアプリケーション最適化製品「Citrix NetScaler System」と、Webアプリケーション・ファイアウォール製品「Citrix Application Firewall」を発表した。

 シトリックスはこれまでクライアント/サーバ環境でアプリケーションを配信する「Citrix Presentation Server」を主軸にしてきたが、Webアプリケーションの利用が企業で増えていることに対応する。同社の代表取締役社長 大古俊輔氏は「クライアント/サーバ環境への対応だけでは企業のニーズに応えられない。シトリックスはWebアプリケーションの最適化に踏み込む」と語った。

大古氏 シトリックス・システムズ・ジャパンの代表取締役社長 大古俊輔氏

 NetScaler SystemはWebアプリケーションのレスポンスを向上させるアプライアンス製品。L7アプリケーションスイッチの機能が基本で、負荷分散機能を備える。オンメモリ上で展開する静的、動的なキャッシング機能や全TCPプロトコルにおよぶデータ圧縮、クライアント側にないデータだけを圧縮して配信する差分圧縮機能などがあり、Webアプリケーションの応答速度をアップする。

 TCSコンサルティングサービスの調査では、Oracle E-Business Suiteを使ったケースで最大で15倍の速度向上があったという。他社製品がL2からL7のトラフィックを対象にするのに対して、NetScaler SystemはL7のトラフィックだけを最適化するという違いがある。

 Webアプリケーションの高速化ではサーバの追加やネットワーク回線の増強などインフラ面の強化のほか、SSLアクセラレータやデータ圧縮装置、負荷分散装置、キャッシュ装置などを導入する方法がある。

 しかし、シトリックスのマーケティング本部本部長、柳宇徹氏は従来の方法を「複雑で、効率が悪い」と指摘。そのうえで「シトリックスは1つの箱で解決策を提供する。シンプルで高効率だ」と語った。柳氏は「Ajaxがデータ量が増える要因にもなっている」と語り、Ajaxを使ったWebアプリケーションにも有効と説明した。

 Application FirewallはWebサーバへのHTMLトラフィック、XMLトラフィックを監視し、攻撃をブロックするアプライアンス製品。各トラフィックの正しい振る舞いを設定することで、正常な通信のみを通して、許可のない通信をブロックする「ポジティブセキュリティモデル」を採用。未知の攻撃でも排除できるという。

 NetScaler System、Application Firewallともに米シトリックスが2005年に買収した企業の製品。NetScaler Systemについては過去にシリーズの「7000」「9000」「10000」が国内販売されいて、Application Firewallと合わせて国内で50社程度の導入顧客がいるという。シトリックスは自社ブランド製品の投入に合わせてハイエンド製品の「12000」を出荷する。7000と12000はNetScaler System、Application Firewallの両方で同じ筐体を使う。現在はどちらかのソフトウェアしか稼働しないが、近く両方が動くようにする予定だ。

 国内ではNetScaler Systemの既存導入顧客に対して12000などへのアップグレードを提案する。同時に海外でNetScaler Systemの顧客になっているグーグルやヤフー、マイクロソフト(MSN)、アマゾンなど大手ネット企業の日本法人に対しても営業をかける考えだ。一次代理店となってるネットワンシステム、マクニカネットワークスと協力する。220社におよぶCitrix Presentation Serverの販売代理店にもNetScaler SystemとApplication Firewallの販売を働きかけ、新規で20社程度の二次代理店を確保する見込み。パートナープログラムも刷新し、各製品ごとの認定技術制度を導入する。6月中旬にも対応した研修を始める。

 NetScaler Systemは上記のように7000、9000、10000、12000の各製品を用意。価格は7000が306万2300円から、12000が1450万円から。5月31日に出荷する。Application Firewallは「7000」「12000」があり、430万円から。出荷は6月1日。2009年には合わせて40億円程度の売り上げを見込んでいる。

 クライアント/サーバ環境の最適化、Webアプリケーションの最適化に続き、シトリックスは必要なデスクトップ・アプリケーションをPCに配信する「Project Tarpon」を進めている。アプリケーション・パフォーマンスの監視製品なども計画していて、対象エリアを拡大させている。

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