SRA社長 鹿島 亨氏――「SOA、OSS、海外展開に注力し、SRAならではのビジネスを広げたい」(2/2 ページ)

» 2006年05月30日 18時00分 公開
[松岡 功,アイティセレクト]
前のページへ 1|2       

最大の課題は大規模案件への対応

 鹿島氏はホワイトボードに、今SRAが注力しているOSS、SOA、グローバルリーチの三つの取り組みと、スピード、品質、コストの三つのユーザーニーズをマトリクスの表にして描きながら、それぞれのマスに○および△と表記して効果的作用のほどを説明してくれた。ここではその表をそのまま示すことができないのでQ&Aに書き込んだつもりだが、お分かりいただけただろうか。この捉え方はSRAに限らず、どのITベンダーにとっても貴重な今後の道標になるものだと思う。

 この捉え方が興味深かったので紙幅を割いたが、今後SRAが注力していく事業展開の中から、3月に同社が発表した最新の取り組みを紹介しておこう。OSSをベースにした「SOA実行基盤」を公開したのがそれで、同社のホームページから無償でダウンロードして使用できる。これにより、ユーザーは多大な費用をかけることなく容易に、身近で小規模なパイロットプロジェクトからのSOA試行が可能となり、その導入メリットを実感することができるという。6月にはこの実行基盤の機能強化版に加え、OSからミドルウェアまでを組み合わせた「OSSスタック」も発売する計画だ。ではあらためて鹿島氏に、企業のIT化に向けた重要なポイントおよびSRAの将来像について語ってもらおう。


アイティセレクト 企業のIT化に向けた重要なポイントは何ですか。

鹿島 自社の合理化や競争力強化のためにITを導入されるわけですから、まずは何をどのレベルまでやりたいのか、つまりITに求めるスコープとクオリティを自ら明確にお決めになることが非常に大事だと思います。IT化の目的に対してスコープが“幅”なら、クオリティは“深さ”だと捉えていただけたらと思います。

 加えてそのことにも通じますが、もはやITは企業経営にとって不可欠なものですから、むしろ経営者の方々がITをもっと上手に戦略的に使うべく自ら知恵を出すくらいでないといけないと思います。この点については、日本企業の経営者の方々もだいぶ意識は変わってきたと感じますが、一方でやはりまだまだ専門部隊に任せておけばいいとお考えの経営者も少なくありません。私はベンダーの立場ですから、こうお話しすると売り込みのように聞こえてしまいますが、もっとうまく使えるのにというのが率直な思いです。

アイティセレクト SRAをこれからどんな会社にしていきたいですか。

鹿島 これからのSRAの大きな課題は、お客様から大規模なシステム案件を安心してお任せいただけるようにするにはどうすればよいか。そのためには会社の規模をもっと大きくする必要があります。でないと大規模案件については大手SI会社を介した二次受けになってしまう。多くの同業他社も事情は同じです。そんな状況もあって国内のソフトおよびSI業界は再編の必要があると言われて久しいですが、私は業界全体として大同団結を考える時期が本当にそろそろ間近に来ているのではないかと考えています。そこで大事なのは、再編の波に自らの意志を持って挑むくらいの気概を持つことです。今具体的な話があるわけではありませんが、同じ独立系の同業他社の皆さんとは共通認識があります。新しく生まれ変わるためにひと役を担えるのなら、私は本望ですね。

このインタビューは現在発売中のアイティセレクト7月号に掲載されています。

前のページへ 1|2       

Copyright© 2010 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ