「コストを気にせず、あらゆるデータの保護を実現する」――米Data Domain

米Data Domainの社長兼CEO、フランク・スルートマン氏とCTOのヒューゴ・パターソン氏が来日し、ディスクベースのバックアップの動向について語った。

» 2006年06月07日 05時18分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 「欧米ではテープを用いたバックアップから、ディスクベースのネットワーク経由のバックアップへの移行というトレンドが大規模に起こっている。日本も数カ月遅れてこのトレンドを追いかけているところだ」――先日来日した米Data Domainの社長兼CEO、フランク・スルートマン氏はこのように語る。

 Data Domainは、テープに代わる、ディスクベースのバックアップを実現する「DD400シリーズ」を開発、提供するベンダーだ。同シリーズの特徴は、「グローバル圧縮」をはじめとする複数の機能を通じて、大量のデータを低い遅延でバックアップできること。しかも、「コストはテープを用いたバックアップと同等か、それ以下にまで下げることができる」(同社CTOのヒューゴ・パターソン氏)。

 稼働しているシステムで用いられるプライマリストレージではなく、データ保護のためのストレージシステムに最適だという。「異なるアプリケーションには異なるストレージが必要」(スルートマン氏)ことから、すでに全世界で400を超える顧客が同社製品を導入してきた。国内でも、特にバックアップ用テープ装置のトラブルや故障に悩んできた顧客を中心に導入例があるという。

スルートマン氏とパターソン氏 米Data Domainのスルートマン氏(右)とパターソン氏

 ITシステムへの依存度が高まるにつれ、国内でも、災害や事故に備えた事業継続計画の重要性が認識されるようになった。データ保護もその一環としてとらえることができる。

 Data Domainは5月に新技術「WAN Vaulting」を発表し、WAN回線経由でのリモートバックアップ/リカバリを柔軟に行えるようにした。これまでは一方向のみのバックアップしか行えなかったが、WAN Vaultingでは双方向でデータを保存でき、しかも1対1の構成だけでなくスター型の1対n構成も実現できる。

 「WAN Vaultingによってリモートのデータ保護を自動的に、しかも柔軟に行えるようになる」(パターソン氏)。また、「これまでもデータレプリケーションは行われていたがコストが高かったため、最も重要なデータに限定されていた。WAN Vaultingではあらゆるデータを自動的にバックアップできる。しかも手元にローカルコピーを残しておくこともできるため、いざというときの迅速なリストアも可能だ」(スルートマン氏)

 もう1つのトレンドは、ITリソースの集約だ。特に世界的な大企業では、運用コストの削減と情報漏洩対策を狙い、リソースを幾つかのデータセンターへ統合する動きがある。これを踏まえData Domainでは2つの分野にフォーカスしていく方針だと同氏は述べた。

 1つは、より大きなワークロードに対応できるよう、製品のキャパシティを拡大していくこと。もう1つは、コンプライアンス対応のための機能拡張だ。

 「どちらかと言えばテープはよりコンプライアンスに、ディスクはよりデータ保護に適している」(スルートマン氏)としながらも、同社のコア技術によってコンプライアンスにいっそう適合した仕組みを実現していくという。具体的には、保存したデータをロックして改ざんを防止する機能やデータの暗号化などが挙げられる。また、保存したデータの中から必要なものを迅速に見つけ出す検索機能も求められるだろうという。

 いずれにしても「コンプライアンスに関しては、目的や業種、アプリケーションごとにセグメント化されており、それぞれに要求が異なる。Data Domainではこうしたニーズに対応する土台として、共通のデータセットを提供していきたい」(スルートマン氏)という。

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