Live戦略の柱“ガジェット”開発はVistaを目指す

初のWindows Live Gadget用のSDKがリリースされた。しかし、Vistaのガジェットテクノロジーとの統合にあわせて、Live Gadgetプラットフォームの大規模な変更が予定されているため、利用に際しては注意が必要だ。

» 2006年06月15日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 最近Windows Live Gadget(ガジェット)の開発を支援するSDKがリリースされた。ガジェットとは、カスタマイズが可能なWindows Liveのホームページ“Live.com”に追加できる小型のアプリケーションである。同SDKからは、企業アプリケーションへのガジェットの応用につながる幾つかのコンセプトを見て取ることができる。また、Webサイトのプロモーションを図る貴重なツールとしてWindows Live Gadgetを利用できる可能性もある。ただし、この新しいSDKを使用して作成したアプレットの長期運用は期待できないかもしれない。Windows Vistaも同様のガジェットテクノロジーを備えており、Vistaのガジェットプラットフォームとの統合が進むにつれて、Windows Live Gadgetプラットフォームは大幅に変更される可能性があるためだ。

 Windows Live Gadgetは、Live.com上で使われるコンポーネントの一種だ。Live.comは、RSSフィードや人気のあるWebサイトのヘッドラインといったコンポーネントをドラッグアンドドロップしてカスタマイズできるWindows Liveのホームページである。Live.comはStart.comというMSNの社内プロジェクトから派生したもので、Windows Live構想の一環として2005年後半にβテストが開始されている。

 ガジェットは、技術的には小型のJavaScriptアプリケーションである。一般的なガジェットの利用法は、ほかのWebサイトやサービスから頻繁に更新される情報を取得して表示するというものだ。例えば、金融情報サービスが提供する為替レートや、AppleのiTunesサービスで最も人気のあるダウンロードの一覧を取得して表示するガジェットを開発できる。現在のWindows Live用ガジェットのほとんどは、ホビイストやMicrosoftの手によるものだが、Live.comがより普遍的な魅力を持つサイトへと成長するにつれて、Webサイトの有用なプロモーションツールとしてガジェットを応用できる可能性がある。

 2006年5月にリリースされたWindows Live Gadget SDKは、APIについての詳細なドキュメント、デザインガイドおよびプロジェクトテンプレート、コードサンプル、他の開発リソースへのリンクなど、ガジェット開発を支援するリソースを提供している。ただし、Microsoftは明確なLive.comの長期計画を示していないうえ、Windows Live Gadgetプラットフォームには大規模な変更が施される可能性がある。特に同社は、Live.comとWindows Vistaの新しいユーザーインタフェース機能であるサイドバーの両方で動作できるガジェットテクノロジーの実現を目指している。現時点では、Vistaのサイドバーで動作するガジェットには別のテクノロジーが使われている。VistaとLive.comの両方に対応したガジェットテクノロジーが実現されれば、いずれはエンタープライズ環境でもガジェットを活用できるかもしれない。例えば、レポートなど定期的に更新される情報を配信するといった使い方が考えられる。ただし、このようなVistaおよびLive.comの両方に対応するテクノロジーが登場するまでは、今回提供されたWindows Live Gadget SDKの利用は、基盤となる概念の理解と、その概念を実際に確認するためのアプレットの開発という程度にとどめておいた方がよいだろう。

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