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» 2006年05月26日 07時00分 公開

MSNの轍は踏まない、Windows Liveはオンライン事業を救えるか? (1/3)

急成長中のインターネット広告市場を狙うWindows Liveの投入は、Microsoftのオンラインサービス史上における大変革ではあるが、同社のビジネスのあり方を根本的に変えるものではない。MSNの轍を踏むことなく、業績不調が続く現在の状況を打破することはできるか?

[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 Windows Liveの導入は、1995年のMSNのリリース以来、Microsoftのコンシューマー向けオンラインサービス史上における最大の変革である。長年停滞するに任せていたが、ここにきて同社は新規スタッフの採用やオンラインインフラストラクチャの拡張を含め、オンラインサービスの改革を急速に推し進めている。しかし、Windows Liveによって、Microsoftのビジネスのあり方が根本的に変わるわけではない。いずれソフトウェア製品とオンラインサービスとの統合が進むとしても、同社の最大の収入源は今後もソフトウェアライセンス販売になるだろう。また、Microsoftはオンライン広告事業が大きな収入源に成長することを望んではいるが、同時に長期的な観点ではさまざまなビジネスチャンスを模索している。

Windows Liveの2つの重要戦略

 MicrosoftのWindows Live戦略は、大きく分けて2つだ。より効果的なターゲティングを可能にする新しい広告プラットフォーム(自社開発した検索連動型広告プラットフォームなど)を提供することで広告主に対する訴求力を高めることと、包括的で高度に統合されたオンラインサービススイートを構築することで、広告の配信先となるオーディエンスを拡大することである。また、信頼できるコンピューティングなどその他の全社的な取り組みの促進にもWindows Liveの各サービスを利用しているが、これらはあくまでもオンライン広告収益を拡大するという最大の目的に付随するものに過ぎない。

MSNに自社開発広告プラットフォームを利用

 2003年にMSNの主要な収入源はサブスクリプションから広告に変化しているが、この広告の大半は、大企業が展開するブランド広告である。例えば、バナーやインタースティシャル広告(要求されたページを表示する前の数秒間ページ全体を使って広告を表示する広告)であり、特定の商品に関する情報を伝えるものではなく、広告主の企業イメージやブランドを浸透させるための広告だ。

 Windows Liveの核は、新たに導入されたadCenterプラットフォームになる。これは、あらゆる規模の広告主がWindows Liveユーザーにテキストベースの文脈型広告を配信できるようにする。

 そもそもadCenterは、Overture(Yahoo!傘下)との提携終結に向けて、Microsoftが自社開発した検索連動型広告プラットフォームとして導入されている。Microsoftは、特定の広告をクリックするユーザーについてのより詳細な人口統計学的情報を提供する機能や、クエリログを基に広告主に追加の入札対象語句の候補を提示する機能、リーチ対象のオーディエンスのタイプを考慮し、時間帯によってキーワードの入札価格を変更する機能など独自の機能を提供することで、OvertureおよびGoogleのAdWords検索連動型広告プログラムからの広告主の奪取を目論んでいる。既にフランス、シンガポール、米国のMSNサーチでは、検索連動型広告のすべてをAdCenterで処理しており、2006年末までには全MSNサーチサイトにおいてOvertureからの移行が完了する予定である。

 2006年5月にMicrosoftは、検索連動型広告以外の用途でadCenterを運用する新しいパイロットプログラムの運用を開始した。同プログラムでは、広告企業が特にトラフィックの多いMail、Messenger、SpacesといったWindows Liveのサイトやサービスすべてを対象に、テキストベースおよび画像ベースの広告を配信できる。いずれは、Microsoft.comやXbox.com、無料のOffice Liveサービスなどその他のMicrosoftサイトや、Windows Live Mail Desktop(2006年後半リリース予定のデスクトップ電子メールクライアント)などにも、広告を配信できるようになる見込みである。また、最終的にadCenterはGoogleのAdSenseプログラムと競合するサービスも提供するようになると思われる。AdSenseは、サードパーティのサイトに配信される文脈型広告を販売し、収益をサードパーティのサイトと分配するプログラムだ。

 Microsoftによると、長期的にはXbox LiveやIPTVを始めとするほかのオンライン製品やサービスにも自社の広告テクノロジーを応用していく予定だという。

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