なぜ、投資対効果が不透明でもAIに投資し続けるのか? 調査が明かす「皮肉な現実」CIO Dive

経営幹部の多くはAI導入を最優先事項に位置付けているが、期待される効果に到達するまでの期間は不透明だ。なぜそれでも企業はAI投資を減らさないのか。ある調査で見えたジレンマとは。

» 2026年02月11日 08時00分 公開
[Scarlett EvansITmedia]

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筆者紹介:マッケンジー・ホランド(Makenzie Holland)(「CIO Dive」シニアニュースライター)

2015年に米国インディアナ州立大学ブルーミントン校でジャーナリズムの学士号を取得。米連邦政府の技術政策担当記者、『Wilmington StarNews』記者、『Wabash Plain Dealer』記者(犯罪・教育担当)を経て現職。

 CIO(最高情報責任者)の46%は、今後5年間における最優先事項としてAI導入と自動化の強化を挙げている。

 ソフトウェア企業のRimini Streetが2025年12月16日(現地時間、以下同)に発表した内容だ(注1)。同調査は、計4300人のCIOおよびCEO、CISO(最高情報セキュリティ責任者)、CFO(最高財務責任者)を対象として、調査企業であるCensuswideと提携して実施された。

AIの投資効果は以前不透明

 回答者の3分の1以上は、5カ年計画における最優先事項として事業継続性および災害復旧の強化を挙げている。人材およびスキル開発を挙げた割合も同程度だ。

 経営層は短期的な目標についても異なる見解を示しており、44%はサイバーセキュリティとリスク管理に関する施策を計画し、41%はコンプライアンスや規制要件への対応に注力、39%はコストの最適化および削減を目指している。

 今後5年間において、多くのCIOにとってAI導入が最優先事項となる一方で、AIプロジェクトにおける投資対効果や、期待される効果を十分に実現できるかどうかは、依然として不透明だ。

 では、なぜ企業はAIに投資し続けるのか。調査から浮かび上がった「皮肉な現実」とは。

 調査で明らかになったのは、期待通りの成果を得られる確率が低い、あるいは成果を得られるまでに異例の長期間がかかると知りつつも、「投資先がAI」であることから最優先で投資し続ける企業幹部の姿だった。

 ITサービス企業であるCDWが2025年の初めに実施した調査では(注2)、調査対象となったビジネスリーダーの約3分の2が「AIに関する投資対効果は50%以下になると見積もっている」と回答した。「プロジェクトで100%のリターンを得られた」と回答したビジネスリーダーは2%未満だ。2025年10月にフロリダ州オーランドで、調査企業のGartnerにより開催されたイベント「IT Symposium/Xpo 2025」において(注3)、Salesforceのマーク・ベニオフ氏(CEO)は「企業がAIの価値を全面的に享受できる時期を正確に予測する際は注意が必要だ」と述べた。

 それでも、企業向けに幅広いAIツールを提供するベンダー各社の動きが鈍ることはなく、Salesforceもその1社だ(注4)。MicrosoftやGoogle、AmazonをはじめとするIT業界大手は、増大するAIワークロードを支えるインフラの構築に数十億ドル規模を投資している(注5)。

 Rimini Streetによると、新たなテクノロジーの投資対効果に関する経営層の期待はさまざまだという。同社は「テクノロジー分野の投資対効果に対する見解の違いは、技術に対する過度な期待や、テクノロジー投資がビジネス成果にどのように結び付くのか明確でないことに起因している可能性がある」と述べた。

 Rimini Streetの調査によると、テクノロジー投資によって得られる効果について、回答者は「今後1年ないし2年で平均して27%にとどまる」と見込んでいる。その後、3年ないし5年の期間で投資対効果は37%まで高まり、最終的に期待される効果の約48%に達するまでに6年以上かかるようだ。

 Rimini Streetのマイケル・ペリカ氏(CFO)は、「経済面と業務面におけるプレッシャーが高まる中、経営層はテクノロジー投資に対して、これまで以上に規律あるアプローチを採用するようになっている」と述べた。

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