第9世代サーバでエンタープライズ市場を攻めるデル

デルは、さらなる成長に向け「顧客満足経験の向上」「エンタープライズ/サービス事業の拡大」「ハイエンド・コンシューマー市場の開拓」を掲げる。エンタープライズ市場に向けては、第9世代の新サーバを発表した。

» 2006年06月20日 22時27分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 デルは6月20日、事業戦略説明会を開催した。4月にデルの日本法人社長に就任したジム・メリット氏は「(日本で)2006年第1四半期で市場成長の5倍となる24%増を達成した」と話し、過去最高となる出荷台数成長をアピールした。

 デルの業績は順調のようだ。メリット社長によると、グローバルでは米国外の市場とエンタープライズ事業がけん引するかたちで、売り上げで前年同期比6%増の142億ドルを達成。製品出荷も前年同期比で13%増の約1000万台となったという。

 日本国内では、24%成長となる過去最高の出荷台数を記録したほか、防衛庁から5万6000台というクライアントPCという過去最大の大型案件を獲得した。デル・プロフェッショナル・サービス(DSP)についても、前年同期比で100%増という高い成長を記録したという。「デルモデルとサービスが受け入れられている証拠だ」とメリット氏。

ジム・メリット氏 デルのジム・メリット社長

 さらなる成長に向けた取り組みとして、メリット社長は「顧客満足経験の向上」「エンタープライズ/サービス事業の拡大」「ハイエンド・コンシューマー市場の開拓」の3つを挙げる。顧客満足を高めるために、2007年度末までに営業・サポート要因を400人強採用し、宮崎カスタマーセンターを強化。エンタープライズ/サービス事業の拡大には、同日発表した第9世代の新サーバを武器に、デル・プロフェッショナル・サービス(DPS)の拡充を図る。ハイエンド・コンシューマー市場に向けては、高級感と高品質のXPSシリーズで開拓していく。

第9世代の新サーバ

 デルは6月20日、第9世代のx86サーバ「PowerEdge」シリーズを発表した。最新のデュアルコアXeonを最大2個搭載し、同社のシェアが比較的低い2ソケットのx86サーバ市場への攻勢をかける。

 第9世代として新たに投入されるのは、1Uラックマウント型の「PowerEdge 1950」、ブレードサーバの「PowerEdge 1955」、タワー型兼5Uラックマウント型の「PowerEdge 2900」、2Uラックマウント型の「PowerEdge 2950」の4製品。最新のデュアルコアXeonを搭載し、パフォーマンスと消費電力減を実現したのが主な特徴だ。

PowerEdge 1950 「PowerEdge 1950」

 CPUに採用するのは5000番台のデュアルコアXeonの「Dempsey」と5100番台の「Woodcrest」。第8世代サーバで利用していた「Paxville」に比べて、パフォーマンが最大152%向上し、一方で消費電量は最大25%低減できるという。メモリには、Fully Buffered DDR2(FBD)を採用することで、アクセスの高速化や信頼性を高めたほか、最大メモリ容量も第8世代比で最大3倍容量をサポートした。

 また、ネットワークのセッション管理にCPUタイムを奪われるのを避けるため、ブロードコムのTCP/IP Offload Engine搭載のNICを標準搭載。今後利用が進むiSCSI接続などで大きな効果を発揮することになるという。そのほか、HDDとしてはSASとSATAドライブに対応、デルとしては初めて2.5インチのSASドライブを採用し、1Uラックマウント型でも4台のHDDを搭載できるため、RAID構成の幅が広がるという。

 同社のDPS事業部兼アドバンスド・システムズ・グループ技術本部長の諸原裕二氏は、SPECintのパフォーマンス比較を示し「第9世代はUNIXサーバに匹敵できる。これをスケールアウトすれば、ハイエンドのUNIXサーバにも負けない」とアピールした。

 第9世代では標準サポートメニューも強化する方針で、24時間体制のソフトウェアサポートを行うなどする計画もある。

 6月20日から順次販売する。価格はPowerEdge 1950が27万3420円から、PowerEdge 1955が未定、PowerEdge 2900は26万820円から、PowerEdge 2950が30万4920円からとなっている。

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