LinuxWorldがソウルに登場(2/2 ページ)

» 2006年06月23日 15時49分 公開
[Rob-Reilly,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine
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Haansoft

 Haansoftは韓国の代表的ソフトウェア企業である。同社のHangulオフィススイートは、1000万本の販売実績を持つ。HaansoftのLinux Workstation製品は韓国語にローカライズされており、ワンクリックで入力モードを中国語と日本語にも切り替えられるようになっている。また、同社のThinkFreeという製品は、ユーザーが任意のブラウザから作業できるJava/Webベースのオフィススイートである。

 中国のRed Flag Softwareと日本のミラクル・リナックスはHaansoftと提携して、アジアのLinux市場における標準化をにらんだAsianuxというコンソーシアムを設立している。コードの約80%はプラットフォーム共通で、残りの20%はローカライゼーションに関する部分である。

 Haansoftの営業/マーケティング専務理事であるダニエル・シャオ氏によれば、同社は、韓国南部の人口約140万人(2002年調べ)の光州市をオープンソースソフトウェアの街にするという韓国情報通信部のプロジェクトを指揮している。このプロジェクトは2009年を完了予定としており、公的機関のすべてのサーバとPCをLinuxに置き換えることを目指している。

Samsung Electronics

 Samsungは、組み込みデバイスの分野におけるLinuxとオープンソースに興味を抱いている。ライバルの家電企業に対する最大の差別化要因はパフォーマンスである。

 Samsung ElectronicsのSystem Software Groupの部長であるヨンギュ・チェ氏は、チップメーカーはこれまで伝統的にバイナリコードとドキュメントだけを製品と一緒に提供してきたと語った。組み込みシステムのパラメータを微調整できるようにすることが非常に重要である、というのがチェ氏の意見である。このようなフットプリントの小さいシステムでは、カーネルを調整することでパフォーマンスの大幅な向上が期待できる(なお、Samsungはこれらの組み込みシステムのベースにMontaVista Linuxを利用している)。共通のLinuxプラットフォームに移行すれば、サポートするオペレーティングシステムの数を最小限に抑えることにもなる。

 同社は、デジタルビデオレコーダ、セットトップボックス、ビデオカメラといった製品でもLinuxの利用を進めている。

トレーニングセッションと展示会場の様子

 LinuxWorld Koreaではレクチャーやケーススタディを中心とした30種類のトレーニングセッションが開催され、「フリー/オープンソースソフトウェアの法的問題」、「Linuxのパフォーマンスチューニング」、「Linuxのデバイスドライバを組み込みプラットフォームに移植する方法」、「ブラウザに依存しないWebプログラミング」などのテーマが並んだ。

 ビジネスレクチャーのテーマとしては、「Linux/オープンソースのビジネスと経済学」、「電子政府へのロードマップ」、「韓国におけるソフトウェアライセンス」、「Linuxのマルチメディアおよびデジタル著作権管理の問題」などがあった。

 スピーカーの半分近くは韓国人で、残りの半分は米国人だった。

 基調講演のスピーカーはほとんどが西洋人だった。数少ない例外が韓国のLG CNSの社長であるChae-Chol・シン氏で、彼は「ユビキタスサービスの集中化とIT業界の課題」というテーマで講演を行った。有名どころでは、Linux Internationalのジョン・“maddog”・ホール氏、IBMのスコット・ハンディ氏、OSDLのスチュアート・コーエン氏、KDEのEva・Brucherseifer氏、Novellのジェレミー・アリソン氏、Black Duck Softwareのドン・レビン氏、Free Standards Groupのジム・ゼブリン氏らの名前があった。

 展示会場にはたくさんの大手ベンダーが参加していた。AsianuxとHaansoftは入口近くに華やかなブースを設け、ステージ上の生演奏で耳目を集めていた。Red Hat Linuxは、よくある感じの製品プレゼンテーションを韓国語で行っていた。NovellはSambaの権威であるジェレミー・アリソン氏の講演を後援していた。Hewlett-Packardのブースでは観客参加型コンテストを開催していた。

まとめ

 今回のカンファレンスにはそれなりの数のベンダーが集まっていたし、政府機関の参加も平均より多かったのではないかと思う。韓国初のLinuxWorld Expoだったにもかかわらず、運営もサービスもきちんとしていた。

 本カンファレンスの主催者、TSKGのCEOであるテクワン・キム氏は、このように語っていた。「第1回のLinuxWorld Koreaの目的は、われわれが今、Linuxおよびオープンソースへの移行という道筋のどこにいるのかを明確にし、それによって市場を目覚めさせることにある」。彼は本カンファレンスの成功に基づき、今こそ変革のときであると言い、最後にこう述べた――「歴史の始まりだ」。

Rob Reilly――コンサルタント、トレンドスポッター、ライター。Linuxおよびオープンソースのポータブルコンピューティングとプレゼンテーション技術の統合を専門とする。


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