KDDIとBT、ITフルアウトソーシングサービスの提供で合弁会社設立

KDDIとBTは、グローバルに事業を展開する日本企業を対象としたフルアウトソーシングサービスの提供を目的に、合弁会社「KDDI&BTソリューションズ」(仮称)を設立する。

» 2006年06月26日 17時21分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 KDDIとBritish Telecom(BT)は6月26日、グローバルに事業を展開する日本企業を対象としたアウトソーシングサービスの提供を目的に、合弁会社「KDDI&BTソリューションズ」(仮称)を設立することを発表した。

 新会社の資本金は約15億円で、KDDIとBTが50%ずつ出資する。設立は8月1日の予定で、現KDDIシニアアドバイザーの舘野修氏が代表取締役社長に就任する。すでに幾つかの大手企業とアウトソーシングサービスに関する話し合いを開始しており、初年度50億円の売り上げを目指すという。

 なおKDDI&BTソリューションズの設立に伴い、KDDIネットワーク&ソリューションズとBTジャパンのグローバルネットワーク事業はそれぞれ分割され、新会社に移行することになる。

 新会社の主な事業は、ネットワークを軸としたITシステムのフルアウトソーシングサービス。日々のオペレーション作業の代行やアプリケーションレベルでのサービスレベル確保に加え、顧客のエンドユーザーに対するヘルプデスク機能まで手がける予定だ。場合によっては、顧客企業のネットワーク/IT担当者を新会社に移籍させる形でサービスを展開していくという。

 KDDIの代表取締役社長兼会長、小野寺正氏は新会社の設立の背景として「海外に事業を展開している企業では、ネットワークサービスやルータなどのソリューションにとどまらず、ルータやサーバといったIT環境の構築から運用/管理までを一貫して行い、全体のコストを削減するアウトソーシングサービスのニーズが高まっている」と述べた。

 一方、これまでKDDIのサービスは、ネットワーク回線やマネージドサービスの提供にとどまってきた。ヨーロッパをはじめ世界各地でフルアウトソーシングサービスを展開しているBTのノウハウを得ることにより、「グローバルアウトソーシングサービスという新たなメニューを追加し、顧客に代わってIT環境を一括管理することでコストを削減し、顧客には自らのコアビジネスに専念してもらいたい」(小野寺氏)という。

 ただし小野寺氏によると、「日本の企業には、まだIT設備の運用も含めたアウトソーシングという考え方はないし、実際にアウトソーシングしているところもない」。しかし、今後は確実にそのトレンドに向かうだろうとし、「BTが持っているアウトソーシングサービスのノウハウに、KDDIが得意とする日本の顧客への対応を組み合わせ、新たなサービスを展開していきたい」(小野寺氏)という。

 またBT Global ServiceのCEO、アンディ・グリーン氏は、「データと音声、ビデオを統合したマルチメディアネットワークのニーズは高まっているが、それを管理していくのは非常に複雑な作業であり、信頼できるパートナーが求められる」と指摘。世界の中でもやや特殊な文化を持つ日本市場向けに、KDDIというパートナーとともに取り組むことで、そうしたニーズに応えられるとした。将来的には、必要に応じてワイヤレスやFMCといった要素もサービスも組み入れて展開していく方針だ。

 グリーン氏は、日本のフルアウトソーシング市場は「約900億ドルと予想され、世界で二番目の規模を持つ大きな市場」であると予測。ネットワークを軸に、マネージドサービスからフルアウトソーシングサービスまでを展開していく計画だ。

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