Gates後に課せられるMS役員への重圧――カリスマをどう埋めるか?(2/3 ページ)

» 2006年06月27日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

埋められないカリスマ性?

 チーフソフトウェアアーキテクトの職はOzzie氏に委ねられたものの、Microsoftの共同創設者の顔を持ち、技術、ビジネス両面のリーダーとして世界的な名声を博しているGates氏の存在は何者も比肩できない。Microsoftにおけるチーフソフトウェアアーキテクトという役職は、Gates氏自らが望む職務を形にしたものだ。Ozzie氏が自分のイメージに合わせて同職を変えていくことはできないだろう。

 長年にわたりGates氏は、以下も含め複数の役割を担ってきた。そのうちのいくつかは、Ozzie氏やほかの技術系役員が引き継ぐことができるが、おそらく次の担い手が見つからないものもあるだろう。

ビルレビューの行方

 Microsoftは非常に分権性の高い管理体制を敷いている。Gates氏の最も重要な職務の1つは、同社の各製品チーム間の開発業務の見直しと調整であった。ビルレビューと呼ばれるレビュープロセスにおいて、各製品チームはそれぞれの最新の製品やアイディアをGates氏に提示する。このレビューで、Gates氏は開発計画と事業計画の両方を評価し、他の製品グループのプロジェクトとの重複や不整合の是正を図っていた。また、プロジェクトに見合うだけのリソース(予算や人員)を製品チームが確保できるよう計らう場でもあった。そのほかビルレビューは、製品チームにとって重要な“推進力”としての役目も果たしていた。どのチームも、不完全で生半可な計画をもってGates氏の審判を受けようなどとは思わないからだ。

 Gates氏は、レビューの対象とする製品数を減らしてきており、今後さらにこの傾向は強まるだろう。このようなレビューは、おそらくOzzie氏やVaskevich氏のほか、各製品グループの技術系役員が引き継ぐことになる。製品グループの技術系役員とは、例えばサーバー&ツール部門担当シニアバイスプレジデントのBob Muglia氏や、WindowsおよびWindows Liveのエンジニアリングを担当するシニアバイスプレジデントのSteve Sinofsky氏、ゲーム&エンターテイメントエクスペリエンス&デザイン(Experiences and Design for Gaming and Entertainment)担当バイスプレジデントのJ Allard氏などが該当する。

最終調停役は誰に?

 一時、Gates氏は、製品チーム間の技術開発上の意見の衝突を解決する役割を担っていた。例えば、今後のアプリケーション開発基盤として(Brad Silverberg氏が推す)Microsoft Webブラウザおよび関連する新しいプラットフォームと(Jim Allchin氏が支持する)Windowsのどちらを採用すべきかや、MicrosoftのゲームコンソールをWeb TVグループが開発を進めていたWindows CEベースとWindows NTのサブセットベースのいずれを採用するのかといった問題を調停してきた(アプリケーション開発プラットフォームについてはWindowsが、ゲームコンソールについてはWindows NTのサブセットが採用されている)。

 ただし、Ballmer氏がCEOの職を受け継いでからは、Gates氏がどの程度このような役目を負ってきたかは明らかでない。Gates氏がMicrosoftでの活動を離れるにつれて、Ballmer氏がこのような議論について最終的な決定を下していくことはほぼ間違いないだろう。もちろん、Ozzie氏をはじめとするほかの役員や経営上のその他の要因を考慮したうえでの決定になると思われる。

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