ファイバチャネルでつなぐ意味――SANの実現に向けてファイバチャネルか?IPか? SANテクノロジー最前線(2/3 ページ)

» 2006年06月28日 07時00分 公開
[ITmedia]

ファイバチャネルの2つの接続方式

 FC-SANには、ループトポロジ(アービトレーテッドループとも言う)とファブリックトポロジ(スイッチドファブリックとも言う)という2つの接続方式がある。

 SCSIでは、サーバ側のホストバスアダプタにデイジーチェーンでストレージを接続するが、当初のFC-SANはSCSIに似た接続形態であるループトポロジが多用されていた。ループトポロジは、1本のファイバチャネル帯域をリング状に1方向へ接続し、最大127台のデバイスで共有する方式。デバイスのポートが別のポートとデータ通信を行うには、ループのアクセス権を取得する必要がある。データ通信のポートの間に位置するポートは、リピータとして機能してデータを転送する。ただし、ここで若干の遅延が発生するため、最大127台のデバイスをフルに接続することはまれであり、通常は少数台のストレージで構成されるSANで利用されることが多い。

 また、ループトポロジでは、どこかのポートに障害が起きたときに、ループ自体が止まって接続されているすべてのデバイスが使用不能になってしまう危険性がある。それを回避する手段として、ループを多重化して可用性を高めることも可能だが、現在では応答しないポートを自動的にバイパスするループハブを利用するのが一般的になっている。ループハブの物理的接続形態は、スイッチを用いる後述のファブリックトポロジと同じスター形になる。そこで、当初は導入コストが安価なループトポロジを採用し、将来的に帯域が必要になったら、ループハブの代わりにスイッチを導入するという手段を取ることもできる。

 一方、ファブリックトポロジは、SANのデータ伝送を仲介するスイッチを中心に構成する接続方式である。ファブリックとは、スイッチが複数集まったことを指すが、スイッチが1台だけでもファブリックと言う。この接続方式の特徴は、スイッチと各デバイスの間とのデータ伝送が他のデータ転送に妨げられることなく、帯域を占有できることにある。そのため、パフォーマンスと安定性に非常に優れている。ファブリックのポート数は、論理的に最大約1678万ポート(24bit)までサポートされる。

ファイバチャネルの2つの接続形態

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