サンとAMDの結婚生活は順調

1年前、「SolarisとOpteronの“結婚”は、世界中から『素晴らしい』と言われている」と話したAMDのルイズCEO。その蜜月は今でも順調であることは、新たに発表された製品群からも見て取れる。

» 2006年08月03日 07時30分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 サン・マイクロシステムズは8月2日、AMD Opteronプロセッサベースのサーバ製品ライン「Galaxy」に、「Sun Fire X4600」「Sun Fire X4500」「Sun Blade 8000モジューラ・システム」の3製品を新たに追加した。同製品群の位置づけとしては、2005年9月に発表した「Sun Fire X4100」「Sun Fire X4200」の製品ラインを拡大するもので、米国では7月上旬に発表されている。国内での製品出荷は9月上旬からとなる予定。

Sun Fire X4600

 Sun Fire X4600は、4Uの筐体内に8つのプロセッサカードソケットを備え、最大8個、プロセッサコア数で16個のAMD Opteronプロセッサを搭載可能。現時点でのメモリ搭載量は最大で64Gバイトだが、2006年第4四半期をめどに128Gバイトまで搭載可能とする予定。

Sun Fire X4600
Sun Fire X4600の内部(Sunのサイトより)

Sun Fire X4500

 Sun Fire X4500は、同じく4Uの筐体にデュアルコアOpteronを最大2個、メモリ最大16Gバイトを搭載可能と、既存のSun Fire X4100サーバと同等なもの。特徴的なのは、筐体内に48台のSATA II HDDを搭載可能にすることでストレージ密度を高めている点にある。仮に、500GバイトのHDDをフルに搭載した場合、24Tバイトのディスク容量を4Uのラックスペースに実装できることになる。これらの管理については、Solaris 10 6/06で提供されたファイルシステム「Solaris ZFS」を利用すると、プールという概念でディスクをまとめて管理可能となる。また、HDDはI/Oバスに直接接続され、1秒あたり2Gバイト(ディスクからメモリへの読み出しの場合)のと高いI/Oスループットを実現している。

Sun Fire X4500 Sun Fire X4500

 Sun Fire X4500は、HPCにおけるパラレルファイルシステム、ビデオ・ストリーミング、ライブ映像記録など、大容量データのハンドリングを行う用途に最適な仕様となっており、先日発表された日本SGIとの協業においても同サーバが活用されることになると予想される。

48台のHDDを搭載可能

 上記2機種は、アジア最速の処理能力を持つ東京工業大学のスーパーコンピュータ「TSUBAME」システムの中核として採用されている。

Sun Blade 8000

 サンとしては久々のブレード型サーバとなる「Sun Blade 8000モジューラ・システム」は、19Uのラックスペースにサーバモジュールを10台集約可能。サーバモジュールは、デュアルコアOpteronを最大4個、メモリ最大64Gバイト、ホットプラグ対応のHDDを2台搭載可能。また、PCI Express×6とサーバーモジュールあたり192Gbps、シャーシあたりで1.92Tbpsの帯域幅を備える。

サーバモジュール(Sunのサイトより)

 いずれのサーバにも共通する仕様としては、電源装置および内部冷却ファンは冗長化されているほか、交換が可能な部品には個別にLEDを配備し、万が一の障害発生時には交換対象の部品が容易に視認可能となっている。

●発表された3製品のスペック
Sun Fire X4600
プロセッサ AMD Opteron 800シリーズ
モデル(動作周波数) 856(3.0GHz)
デュアルコア880(2.4GHz)、885(2.6GHz)
メモリ 16 〜 64Gバイト(最大8Gバイト/プロセッサ)
内蔵ディスク 73 〜 292Gバイト(73Gバイト × 4台)
PCI-Express拡張スロット 6
PCI-X拡張スロット 2
ネットワークポート Gigabit Ethernet × 4
Sun Fire X4500
プロセッサ AMD Opteron 200シリーズ
モデル(動作周波数) デュアルコア285(2.6GHz)
プロセッサ数 2
メモリ 16Gバイト
内蔵ディスク 24Tバイト(500GバイトHDD使用時)
PCI-X拡張スロット 2
ネットワークポート Gigabit Ethernet × 4
Sun Blade X8400・モジュール
プロセッサ AMD Opteron 800 シリーズ
モデル(動作周波数) デュアルコア870(2.0GHz)、875(2.2GHz)、885(2.6GHz)
プロセッサ数 4
メモリ 8 〜 64Gバイト
内蔵ディスク 0 〜 146Gバイト
PCI-Expressバス 6
ネットワークポート Gigabit Ethernet × 2

 価格は、最小構成で、Sun Fire X4600が389万9000円、Sun Fire X4500が494万9000円、Sun Blade 8000モジューラ・システム(Sun Blade 8000モジューラ・システムシャーシとサーバモジュール1枚)が316万3000円。動作OSは、Solaris 10、Red Hat Enterprise Linux、SUSE LINUX Enterprise Server、Windows Server 2003。


 SunのOpteronに対する取り組みは、Sunの共同創業者の1人であるアンディ・ベクトルシャイム氏によるところが大きい。同氏は1995年にSunを離れ、Granite Systemsを立ち上げたが、Cisco Systemsに買収されている。その後、AMD Opteronプロセッサ搭載サーバを設計するKealiaという新興企業を立ち上げていたが、これを2004年にSunが買収したことで、AMD Opteronに関する知見を十二分に備えて再び古巣へと戻ることになった。「コンシューマー向けの世界ではジョブズ氏が知られているが、アンディはサーバ/ワークステーションの天才デザイナー」とスコット・マクニーリ氏は同氏の才能を高く評価していたが、その同氏が総開発責任者となって進めたサーバプロジェクトが「Galaxy」であり、その登場以来、市場に新たなイノベーションと選択肢を提供している。物理集約度を高めた今回のサーバは、設置スペースあたりの処理能力を大幅に向上させることが可能で、仮想化技術などと組み合わせることで、より理想的なサーバ統合につなげることも可能となる。

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