インサイダー覆面座談会「電子政府“無責任”の連鎖を断て!」―前編崖っぷち!電子政府〜迷走する4500億円プロジェクトの行方・第4回(2/2 ページ)

» 2006年08月18日 08時00分 公開
[山崎康志+編集部,ITmedia]
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EAを骨抜きにした行管局

B あれ、どうするの? 民間会社なら、40億円もかけて開発に失敗したら、普通、担当役員はクビだよね。人事院のCIOは責任とらなければおかしい。

A でも、全然辞める気ないよ。あそこのCIO補佐官も連絡会議で「問題はない!」と半ばヒステリックに叫んでいたけど、彼も辞めないだろうな。彼のCIO補佐官契約が切れたところで、穏やかに幕引きじゃないの。

D 僕は総務省行政管理局の責任を追及すべきだと思います。システムを検分せずに放置し続け、最後は人事院側に立って火消しに躍起になったんだから、職務怠慢以上に悪質。本来、電子政府は行管局の所管なのに、「我々にそんな権限はない」と言っておいて、GPMOに主導権を取られそうになると、「総合調整は我々の仕事だ」と言い出す。話になりません。

B そうだよね。行管局の責任は重い。電子政府は、最初に彼らがしっかりグランドデザインすべきだったんだよ。絵に描いた餅のような最適化計画ばかり85件も出てきちゃってどうする気なのか。

A だいたいね、最適化計画に技術体系を書かなくていいって決めたのは誰、と言いたい。EA(エンタープライズアーキテクチャ)をやるんだったら、技術体系を書かなければ、アーキテクチャは決まらないでしょ。だから、ポンチ絵ばかりの最適化計画になって、行管局はそのチェックしかしてない。

――最適化計画のガイドラインをつくる時に、行管局からCIO補佐官にヒアリングはなかったんですか。

C あったけど、1週間ぐらい前に諮られて、「コメントしないと、このまま行っちゃうよ」というメールが3日前に来た。あれだけの分量を1週間で見ろ、というのは、実質「見るな」と言っているのと同じ。バタバタと決まっちゃった。

B あのね、EAにしろ、EVMSにしろ、PMBOK(プロジェクト管理・ボディー・オブ・ノレッジ)にしろ、この国は欧米の方法論を輸入する際に、みんな骨抜きにするんだよ。ここは要らない、これは適当でいいとなって、体系的な導入ができない。役人はもちろん、コンサルティング会社もベンダーも勉強してないから……。CIO補佐官も本当は候補者にきちんと研修して、試験やって、一定の水準の人材を採用すべきなのに、多くは履歴書だけで採った。だから温度差ができちゃう。

C EAに関していうと、ITアソシエイト協議会などで検討されていて、一応の課題抽出も済んでいた。だから、まず経済産業省あたりをモデル官庁として導入し、CIO補佐官の在り方も含めて1年ぐらい試行期間を置くべきだったんだよ。次は総務省、その次は財務省と段階的に導入すればいいのに、行管局は一斉に入れたでしょ。

A そう。振幅が大きすぎる。EAといえば、猫も杓子もみんなEA。随意契約がいい例だよ。一般競争入札は善、随意契約は悪となると、一斉に禁止になる。政策がらみの調査や研究など知識業務は安ければいいというわけじゃないのに、振れ出すと止まらない。

B 鉛筆買っているんじゃないんだからさ、値段だけで全部決めるなんて馬鹿な調達はないよね。一事が万事、場当たり的だよ。

インサイダー覆面座談会「電子政府“無責任”の連鎖を断て!」―後編の記事はこちらでご覧になれます。


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