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» 2006年08月22日 08時00分 UPDATE

崖っぷち!電子政府〜迷走する4500億円プロジェクトの行方・第5回:インサイダー覆面座談会「電子政府“無責任”の連鎖を断て!」―後編 (1/2)

ガバナンスの不在―。過去5年の電子政府の足取りを振り返る時、浮かび上がるのは“無責任”の3文字である。では電子政府の今後の展望をどう拓くのか。CIO補佐官ら関係者4人に生の現場の声を聞いた。今回はその後編。

[山崎康志+編集部,ITmedia]

インサイダー覆面座談会「電子政府“無責任”の連鎖を断て!」―前編の記事はこちらでご覧になれます。


バックヤードの電子政府

――各省庁のCIOを含めて行政官にIT調達に対する意識が低いのはなぜでしょう。

B 多くのキャリア官僚にとっては、電子政府はバックヤードの話なんですよ。それぞれ本業の仕事をもっていて、審議会を立ち上げたり、大臣の答弁資料つくったり、議員会館へ行ったり、忙しいわけね。東大法学部出て国の政策に関わるために役所へ入ったのに、業務のシステム化なんてやってられるか、という気持ちがある。そんなもん、ノンキャリアに任せておけばいいと……。

D そうですね。どの役所も情報システム部門というのは傍流のポストなんですよ。そういう部門が業務改革を出来るはずがない。今までのシステムは帳票や資料、つまり、紙をただ電子化しただけ。だから使われないんです。

――例えば?

D いくらペーパーレス化といわれても、審議会の資料をPDFにして100ページも読んでいたら、眼が疲れてしまうでしょ。みんな紙で読んで議論しています。府省個別システムの開発を統括する各省庁のPMOは、決済段階を減らすとか、書式を改めるとか、まさに業務改革を行わなければならない。だから、PMOは情報システム部門ではなくて、総務課や秘書課、あるいは政策評価室といった役所の中枢部門が担当すべきなんですけど、今のところ、そうなっていませんね。

B だから、情報システム部門にはなんとか天皇なんて言われる重鎮が居座っちゃうんだよ。もう4年以上在籍している古参のプロパーは総退陣してほしいな。

――発言に実感がこもっていますね(笑)。

B いや、本来、情報システム部門の責任者は、受注者や利用者の気持ちも理解して、360度全方位の視野が必要なんですよ。だけど、発注ばかりしていると、だんだん偉くなっちゃう。高圧的になって、打算や癒着の機会も増えるし、自制能力が働くのはせいぜい4年。それ以上居座るから、「あのベンダーは俺が育ててやったんだ」なんて馬鹿なこと言う奴が出て来る。

行政に内部統制機能はあるか

C 確かに受注者や利用者のこと、まったく考えてない発注ってあるよね。例の人事・給与システムでいえば、GIS(地理情報システム)……。

A うん。あれ、すごいよね。住所を入力すると、GISサーバが起動して画面に周辺地図が浮かび上がるんだよ。ちょっと驚く(笑)。自宅と最寄駅をクリックすると、最短距離○キロ、徒歩○分と表示されるんだけど、転居届に添付する地図なんて手描きでいいんだから、こんな無駄な機能はない。CPUの負荷が高まって画面表示も遅いし……。

C おそらく発注者は「これからはGISだよ」って、ベンダーに言ったんだろうね。えっ、GIS? とベンダーは不審に思っても、不見転だから言われた通りつくっちゃう。それで何億円も開発費上がるんだよ。

A そういう意味では、逆にベンダーの言いなりになって、低入札価格調査をちゃんとやれない行政官は要らないね。低入札価格調査で撥ねられて、再調達になった事例はほとんどないでしょ。行政官にプロ意識があれば、「この調達は完璧に公正でした。後で問題があったら、私の首飛ばし下さい」とサインしてほしいくらい。

――それは面白い。調達にちゃんとけじめをつけるということね。

C サインで思いついたんだけど、今度、日本版SOX法が適用になると、民間企業の役員は「内部統制報告書」に署名しなければならないよね。不正があれば、経営責任を問われる。電子政府もそれぞれ事務次官がサインすることにすれば、みんな本気になって取り組むよ。そうでもしないと、役所の内部統制は機能しない。

B いや、駄目駄目。役所のSOXはSOXでも、ルーズソックスだから、女子高校生と同じ……(笑)。

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