「要お問い合わせ」の本当のトコロ――導入・運用コストを試算するネットワーク/セキュリティアプライアンス導入計画

外部ネットワークからの脅威に対処する統合型セキュリティアプライアンスだが、実際に導入、運用するにはどの程度のコストがかかるものなのだろうか。専任の管理者を置くことがない小規模ネットワークの場合は、特に気になるだろう。今回は、小規模ネットワーク向け製品の実売価格を調べてみた。

» 2006年08月31日 08時00分 公開
[ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「ネットワーク/セキュリティ アプライアンス導入計画:ネットワークの門番を導入する」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


コスト比較のしにくいセキュリティアプライアンス

 ファイアウォール、IDS/IPS、ウイルス対策、URLフィルタリング、VPNなど豊富な機能を備える統合型セキュリティアプライアンスは、ネットワークの規模、サポートするクライアント数、スループット性能などが異なる製品が、多くのベンダーからラインアップされている。それらの製品価格は「要問い合わせ」「オープンプライス」が多く、はっきりと明記されているものは少ない。そのため、ユーザーは導入や運用のコスト比較をしにくいのが実情だ。

 さらに、その機能に関しても、製品によって標準で搭載している機能とオプションによって実現する機能が異なっており、自分たちに必要な機能を満たすとどのような価格になるのかが分かりにくくなっている。

 では、実際にはどの程度のコストがかかるものなのだろうか。

 例えば、最も小規模なネットワーク向け製品であるチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの「Check Point Safe@office 500」の場合、本体価格だけならば5ユーザーで5万円以下に設定されている。これにウイルス対策およびIPSのシグネチャ更新料を含む年間保守費用を含めると、実売価格は6万5000円前後になる。

 ちなみに同製品は、URLフィルタリングがオプションで別売になっているが、ファイアウォール、IDS/IPS、ウイルス対策、VPNの各機能は標準搭載。パフォーマンスはファイアウォールスループットが100Mbps、VPNスループットが20Mbps。最大100ユーザー規模に拡張できる。

 Check Point Safe@office 500とほぼ同じ価格帯の製品には、フォーティネットジャパンの「FotiGate-50A」、ソニックウォールの「SonicWALL TotalSecure 10」などがある。ただし、FortiGate-50AはファイアウォールとVPNのみが標準搭載で、ウイルス対策、IPS、コンテンツフィルタ、スパム対策の機能はオプションになる。実売価格は、オプションなしの場合が6万5000円前後、オプション付きが8万円前後。SonicWALL TotalSecure 10は10ユーザー(配下のIPアドレスが10ノード)、ファイアウォール、ウイルス対策、スパイウェア対策、IPS、コンテンツフィルタリング、VPNの各機能を搭載し、ファイアウォールスループットが30Mbps、VPNスループットが10Mbps。実売価格は7万円前後。いずれも、初年度の年間保守費用が含まれており、2年目以降は1〜2万円程度の保守費用が別途必要となる。

 この保守費用は、クライアントPCにインストールするウイルス対策ソフトのウイルスパターンの更新と同じように、対応すべき最新の脅威のデータの提供を受けるための費用である。セキュリティホールなどの情報は日々更新されている。「要お問い合わせ」「オープンプライス」に隠された価格のほか、このような費用もかかることになる。

 セキュリティアプライアンスには単純に導入するだけでなく、このような最新情報を入手するためのカタログからは見えないコストが必要になってくる。このこと念頭に置くことで、より実際に即した導入プランが見えてくるだろう。

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