Microsoftの新体制は今どうなっているのか?――コンシューマー分野編(2/3 ページ)

» 2006年09月11日 07時00分 公開
[Matt Rosoff ,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

MSNブランド広告の拡大
 MSN.comサイトでの新しいコンテンツ開発を進め、大手広告主を獲得することで、(バナーやスポンサーページなど)MSNブランド広告ビジネスを拡大する。Ballmer氏は、最近は大手企業ユーザーよりも、広告主との話し合いにより時間を割いていると述べている。

 暗黙の了解として、投資家は明確な説明のないまま業績不振を認めるようなことはしない。このため、Johnson氏はMicrosoftがオンラインビジネスの評価に使用する指標についても説明した。たとえば、コミュニケーションサービス(ひいてはこれらのサービスの担当役員)のパフォーマンスは、サービスにアクセスしたユニークユーザー数と、ユーザーの各サービスの利用時間を基に評価される。またWindows Live Searchでは、検索数、1クリックあたりの料金、1検索あたりの収益によって評価が下される。しかし、言及はされなかったが、指標の1つはやはり実際の利益になるだろう。

エンターテインメント&デバイス部門:投資先行で2008年以降の業績に期待

 Robbie Bach氏が率いるエンターテインメント&デバイス(E&D)部門は、これまで同氏が監督してきたホーム&エンターテインメント部門(Xboxおよびゲーム、TVプラットフォーム、その他のコンシューマー製品を統括)と、Pieter Knook氏の監督下にあったモバイル&組み込み部門(Windows MobileおよびCEを統括)を統合した新部門だ。

 ホーム&エンターテインメント部門の2006年度の収益成長率は、50%を超えるとされていた予想を下回り、36%の伸びにとどまった。また、同部門の財務報告が開始された2002年度以降50億ドル近い損失を生んでいる。モバイル&組み込み部門は2006年度に黒字を記録したが、規模が小さい(2006年度の収益は3億7700万ドル、利益は200万ドル)ため、同事業の成績が好調でも新しいE&D部門全体の財務成績を押し上げるような効果はほとんど期待できないだろう。

 FAMにおいてBach氏は、E&D部門が統括する各主要事業について現況を報告している。

Xbox 360の見通し
 Microsoftはユーザーベースを確保することで最終的に採算をとることを狙い、Xboxゲームコンソールを生産コストに満たない値段で販売している。このため、Xbox事業は2007年度も赤字が続くが、(過去の予想から1年遅れるものの)2008年度には黒字化でき、2008年度はE&D部門全体も黒字に転換できるとしている。

 Bach氏によると、2006年末までにXbox 360は、2006年秋にリリースが予定されているソニーのPlayStation 3と任天堂のWiiコンソールを大きく引き離し1000万台のリードを奪っているという。これは、重要なアドバンテージだ。第1世代のコンソールでは1000万台のユーザーベースを確保できた場合、通常同じ世代のコンソール市場では盤石なリードを築くことができている。販売されたコンソール台数が多ければ、ゲームメーカーはそのコンソールの専用タイトルを開発するし、小売店でもより広い販売スペースを確保してもらえる。

Zuneの開発に数100万ドルの投資
 Bach氏によると、2007年度はMicrosoftのIPTVソリューションがAT&T(米国)、BT(英国)、Deutsche Telekom(ドイツ)により、大々的に展開される最初の年となる見込みだ。これで新たな収入源が生まれるが、携帯オーディオ/ビデオデバイスおよびオンラインサービスで構成される新しいZune製品ラインの開発に、数年をかけて数100万ドルが投資される予定であることを指摘している。

 Bach氏は、エンターテインメント事業は、2008年度いっぱいは赤字が続くとし、具体的な黒字化のタイミングは示さなかった。また、コンテンツを(理想的にはすべてMicrosoftソフトウェアを搭載した)各種デバイス間で転送できる“つながるエンターテインメント(connected entertainment)”シナリオを実現する上で、このビジネスが持つ重要性についても示唆している。

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