screenで遠隔教育Leverage OSS(2/2 ページ)

» 2006年09月13日 10時20分 公開
[Phil-Hollenback,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine
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 この時点で教師側と生徒側の両方がセッションの読み書きをできるようになったことになる。ただしこれにはセキュリティ上の問題が潜んでいることに注意しよう。生徒が教師同様にセッションに読み書きすることができるので、もしかしたらシステムにダメージを与える何らかのことを生徒が行うことができてしまうかもしれない。自分の生徒を信頼できない場合には、おそらく、いつも使っているログインアカウントとは別の、特別な教師用アカウントを使用するべきだろう。あるいは、生徒からは教師のセッションの読み取りのみを可にしておくことも一つの手だ。そうするためには、「Ctrl-a :aclchg student -w "#"」のように、screenのコマンド「aclchg」を使用して生徒の書き込み権限を削除する。これにより生徒は教師の動作を見ることのみができるようになる。そうようなことをしない場合、教師は生徒を完全に信頼して自由に作業させる、ということを意味する。

 ここでの例は教師側と生徒側がそれぞれ一人ずつの場合に基づいているが、1つのセッションには複数のユーザーが接続することもできる。教師側と生徒側をともに複数人にすることも可能だ。

 さて、教師と生徒との質疑応答はどうするのか? まあわたしたちの場合は電話を使ったのだが、インスタントメッセージやIRCやVoIPを使って質疑応答を行うことも可能だろう。また、screenのマルチユーザーセッションにはメッセージ機能も用意されている。Ctrl-a :wall messageとすることで、同じscreenセッションに接続している全ユーザーに対してメッセージを書き込むことができる。screenのメッセージ機能を使用する上での問題点は、端末状態行(terminal status line)を使用するということだ。xtermの場合、端末状態行はウインドウのタイトルバーの場所に当たるため、ウインドウマネジャーによっては分かりにくいかもしれない。

 screenを指導用ツールとして使用するための最後の仕上げはログだ。同僚とわたしには端末の全出力のログがあったため、後で疑問が湧いた場合でも自分たちが行なったことの正確な記録があった。前述したように、標準UNIXツールのscriptを利用するというのも確かに一つの手ではあるが、 scriptは非常に貧弱なツールであり、あまり読みやすい出力をしない。また、例えばテキストエディタのようなフルスクリーンのツールを実行したい場合に、セッション内でログ機能のオン・オフを切り替えることができない。

 幸いにもscreenにはscriptよりも洗練され充実したログ機能がついている。screenのログ機能では、Ctrl-a Hでいつでもオン・オフを切り替えることができる。あるいは-Lスイッチを使用して、最初からログ機能をオンにした状態でscreenを起動することもできる。ログファイルは、「screenlog.n」という名前でカレントディレクトリに生成される(nは、新しいログファイルになるたびに1を増加した数になる)。

 ログファイルの中身には、セッションで出力された文字がすべて含まれていて、評価・適用済みの訂正やカーソルを移動するための文字も含まれている。一つ注意すべきことは、画面に制御シーケンスを送るプログラムが出力を混乱させてしまうことがまだあるということだ。この例としては、デフォルトで出力に色をつけるGNU lsがある。以下のようなbashのエイリアスを使って、この機能をオフにしておくと良いだろう。


alias ls='ls --color=none'

 以上で、すべての準備が整った。あらゆるコマンドラインベースの命令について、複数のユーザーでscreenのセッションを共有することができるようになった。また、教師はいつでも、ほかのユーザー(生徒)のアクセスを読み取りのみ可に変更してセッションへの書き込み権限を自分だけが持つようにすることができるようになった。さらに、screen内でのログ機能をオンにして、セッション全体(あるいは、そう望むなら、セッションの一部のみ)の正確で便利なログを得ることができるようになった。

 遠隔教育という今回の目的のために、screenはきわめて有効に働くことが分かった。そして同僚もその結果に満足した。screenは非常にパワフルで柔軟であるため、screenの一部のオプションや使い方は分かりづらい。しかしわたしはこのツールをこれからも使っていこうと思っており、同様の状況にある方々にもぜひお奨めする。

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