多様な提供形態をとる空間情報システム――国際航業地図情報がビジネスチャンスを見つけ出す! 第5回

地図情報の王道であるGISを切り口に、先進的なベンダーの戦略を紹介しながら、現在と今後の地図情報の活用のあり方を見ていく。今回は用途別の膨大な地図データベース群をバックボーンに持つ国際航業のサービスを紹介する。

» 2006年09月19日 08時00分 公開
[ロビンソン,ITmedia]

 国際航業は、航空写真測量の専門会社として、長年蓄積された空間情報技術から地図を制作する業務を続けてきた。その中の地図情報事業部は、3つの柱でサービスを提供している。1つは自社のGIS『アースファインダー』を活用した、民間企業のマーケティング分析に利用される地図情報システムの開発と販売。2つ目は、地図情報プラットフォーム『PAREA(パレア)』の開発と販売。自社製の地図情報を、用途別に27の膨大なデータベース群で構成する。3つ目は、NETMAP(ネットマップ)。Web経由で地図の配信をASPサービスとして行うもので、災害時の情報をメールで配信する『ホッ!とマップメール』もその1つ。携帯電話を利用し、災害時や防犯における安否確認メールに地図付きの避難所リストを家族などの関係者全員に配信するサービスだ。

 そのアースファインダーを使いやすくパッケージ化した『エリアマーケティングパッケージ』は、アースファインダーの基本機能に地図と統計データをパッケージにしたもの。エリアマーケティングで使われている地図ソフトの中で搭載率がダントツだという。また、折込配布計画に必要な全国版新聞の販売店のエリアをかぶせて折込エリアマップを作成できる『折込チラシ配布計画作成パッケージ』もリリース。今年7月からはASPで利用できるようにした。店舗を持つ小売業やサービス業、通信販売業などをクライアントとする、折込広告のサービス事業者や広告代理店がこのツールの利用者となっている。地図上に示した円範囲内や市区町村単位などから新聞の販売部数を把握し、これまで明確にできなかったチラシ配布の部数とコストが一瞬でわかるようになることが特徴だ。

国際航業の「折込チラシ配布計画作成パッケージ」分析画面

 地図情報事業部の企画営業部で課長を務める吉田勤氏が「あえて今回は折込に機能を絞ることによって、単価を安く提供できた」と話すように、初期費用20万円、基本使用料が月額3万円からと導入しやすい価格となっている。「マーケティングに関係ない仕組みは極力排除しています。プルダウンもアイコンも分かりやすいデザインにし、地図業界で使われるような専門用語も使っていません。それが使いやすいと評価されています」(吉田氏)

 また、同事業部の企画営業部で課長を務める豊嶋則彦氏は、「簡単に使えることがパッケージの良し悪しを決める部分。ラインナップの広さや機能の高さは狙っていません」。さらに「地図が地図だけで存在しうる時期は短く、やはりどんな用途に当てはまるかを追求することが重要です。特定の用途に対するアプリケーションを追及することにコンテンツが活きるのではないかと考えています」と語った。

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