「スパムの検知率、実は無意味」――テラステクノロジーらがスパム対策製品を本格展開

図研ネットウエイブと韓国のテラステクノロジーは販売代理店契約を結び、スパム対策アプライアンス「SPAM WATCHER」を中堅・中小企業に売り込む。

» 2006年10月11日 19時59分 公開
[堀見誠司,ITmedia]

 図研ネットウエイブは10月11日、韓国Terrace Technologies(テラステクノロジー)のアンチスパムアプライアンス「SPAM WATCHER」の正規販売代理店契約を結んだと発表した。中堅・中小企業やISPなどをターゲットに販売、スパム対策アプライアンス市場で10パーセントのシェア獲得を目指す。

画像 4Gのメモリ、ホットスワップ可能なRAID5ディスクを搭載するSPAM WATCHER 500。冗長構成が可能で、障害時でもメールトラフィックをバイパスできる

 開発元のテラステクノロジーは、インターネットメールシステムを手掛ける韓国のベンチャー企業で、6月に日本法人を設立している。同日、同社からSPAM WATCHERの最上位機種となる「SPAM WATCHER 500」が発表された。このほかメモリ容量やメールの処理能力の異なるモデル100/200/300があり、価格は保守費用を含めて106万円から。

 SPAM WATCHERはMTA(Message Transfer Agent)として動作しスパムメールの検出および隔離、ウイルス対策を行うアプライアンスで、モデル500の場合で1日500万通というメッセージ処理能力の高さが売り。

 また、メール受信前のSMTPセッションおよび受信後のメッセージ解析の両面で、コンテンツフィルタ、ベイジアンフィルタなど複数のフィルタを構成してスパムメールの判定精度を向上させている。中でも、受信前にスパムを遮断する「IPフィルタ」ではルールベースのフィルタリングを可能とし、「特定のIPアドレスから1分間100通以上送信されたら遮断する」といった条件付けが行える。

 さらにメッセージ解析では、ベイジアンフィルタなどの学習型フィルタではスパマーに回避されるケースが増えてきたため、言語に依存しない米Commtouchの検知技術(RPDフィルタ)を利用してメールから生成したハッシュデータの検査を行い、画像のみのスパムでも判定できるようにした。

画像 記者発表会でスピーチするテラステクノロジーの魚軫善(オ ジンソン)代表取締役
画像 テラステクノロジー日本支店長の金暎|(キムヨンジュン)氏

 運用形態として、ブリッジ(透過)モードをサポートしている点も特徴だ。プロキシとして運用するとスパマーがSPAM WATCHERを通り越してメールサーバに直接アクセスできてしまう恐れがあるが、ブリッジモードではすべてのトラフィックが本体を通過するため、処理に漏れがなくなる。加えて、DNSのMXレコードを変更する必要がないというメリットもある。

 「韓国の大手ISP向けのスパム対策市場では90パーセントのシェアを握っている」と豪語するテラステクノロジー日本法人代表の金暎|(キムヨンジュン)GMは、スパム対策製品のスペックを表す指標として挙げられる検知率に疑問を示す。「ベンダーが公表する検知率や誤検知率は、その大半がテスト環境での数値でしかなく意味がない。実環境においては当然変わってくるので、それよりもユーザーごとの評価に適した対策や処理能力のバランスを考慮するべきだろう」。

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