「Apex」はSalesforce.comの強力なドライバとなる(2/2 ページ)

» 2006年10月12日 14時54分 公開
[谷川耕一,ITmedia]
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 この活動は現在はまだ初期段階で、さまざまなSIベンダーやISVにアプローチしているところであり、今後はApexの標準化部分を強化し、さらにサポートやコンサルティングといったサービスを展開していく。技術者が普段使い慣れている環境で利用できる工夫もしている。プラグインを提供することで、Javaアプリケーションの開発環境として標準的なEclipseからもApexの開発ができる仕組みを提供するという。また、「Apexデベロッパーズネットワーク」と呼ぶコミュニティー活動も開始したとのことだ。

 Apexが開発言語として登場したことで、さまざまなアプリケーションを開発できる自由度は得られたが、逆にパフォーマンスやセキュリティなど新たな問題について開発者は苦労するのでは? という質問に対し、プラットホーム部門のSVPであるSteve Fisher氏は、次のように説明した。

 「Apexの技術は、Salesforce.comで行ってきた7年半の開発実績を基にしている。このため、そのような問題で技術者が苦労することはないと考えている。例えば、データベースへのアクセスについては、構築したアプリケーションとデータベース間でコントロールレイヤーが入っており、ここでさまざまな問題が吸収されることになる。もともとマルチテナントで動作するようになっているので、個々に開発したアプリケーションがほかに影響を及ぼすことはない。Apexは、Salesforce.comにとって強力なドライバとなる」(Fisher氏)

 パフォーマンスについては、十分な投資をすでに実施しており、さらに足りなければSalesforce.comのもともとのスケールアップ型アーキテクチャが役立つ。サーバを追加することで対応できるわけだ。このようなバックエンドの仕組みを開発者は意識する必要はなく、Apexには拡張性、信頼性、安全性がもともと整っている開発環境だということだ。

 レガシー連携については、WebサービスのAPIを提供して以来、取り組んできたことであり、今回のApexではより強化されるとのこと。すでに、2006年の第2四半期に記録した31億のトランザクションのうち、45%がWebサービスAPI経由のものであり、外部システムとの連携では十分な実績があるとのことだ。

 「データレベルのインテグレーションはAPIで、ユーザーインタフェース部についてはマッシュアップで連携する。この場合もSalesforce.comがシステムの中心にあるという考え方ではなく、Webサービスでうまく連携して他社サービスの強みと協調していく考えだ」(Fisher氏)

 自らが理想的なシステム像というものを描き、そこへ顧客やパートナーを導くのではなく、顧客や市場が望むものを取り入れ段階的にサービスを作り上げていくというのがSalesforce.comの基本的な取り組みだといえる。インタビューの端々からも、彼らの考える姿勢が伺えた。

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