登下校情報メール配信サービスは、学校のITインフラとして普及するか驚愕の自治体事情(1/2 ページ)

自治体にとって安全確保は最も重要な課題の1つである。特に子どもの安全に対する保護者の関心が高く、さまざまな取り組みが始まっている。ここでは、登下校メール配信サービス「HotConPass」を取り上げ、同サービスの可能性を考える。

» 2006年10月25日 08時00分 公開
[中村文雄,ITmedia]

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 自治体にとって安全確保は最も重要な課題の1つである。特に子どもの安全に対する保護者の関心が高く、防犯ブザー、監視カメラ、GPS携帯電話などを利用した安全への取り組みが始まっている。中でも子どもの登下校を保護者が確認できるメール配信サービスが、数年前より学校や学習塾に導入されるようになった(関連記事参照)

 登下校メール配信サービスは数十社から提供されているが、基本的にはバーコードやICタグのカードを子どもに持たせ、カードリーダーにカードを読ませることでメールを送信する。現在、サービス提供企業もユーザーサイドもサービス内容に関する模索を続けており、これから普及が進むと予測されている。

 従来のサービスを研究して、凸版印刷、トッパン・エヌエスダブリュ、JTBの3社が2006年4月からサービスを開始したのが、登下校メール配信サービス「HotConPass(ホットコンパス)」。トッパン・エヌエスダブリュ・開発営業グループ営業第一チームリーダーの荒川正一氏は次のように語る。

 「ホットコンパスの大きな特徴は、インターネット回線さえあれば簡単に設置できること。PCを必要とせず、カードリーダーにネットワークケーブルを接続するだけで設置できる。従来のサービスではメールの遅延が問題になることもあったが、当システムではキャリアの都合を除き、理論上15分で12万件のメール配信が可能で、メール遅延の心配はない」

 子どもたちが持つカードにはID番号が登録されたICタグが封入されている。カードにはID番号だけが登録されており、個人情報はすべてサーバに登録するシステムなのでカードから情報が漏えいする心配はない。カードをパスケースに入れたままでも認識するので、子どもでも簡単に利用できる。生徒の登下校時間を正確に記録するので、学校側も管理データとして活用できるメリットもある。

 月間のランニングコストは、1拠点のシステム利用料が1万円で1人当たり300円。参考データであるが、1拠点で3台のカードリーダーを用いて300名の生徒を対象とした場合の初期導入費用は約100万円(カード代込み、システム利用料は除く)。このタイプのサービスでは比較的安価であるという。

ホットコンパスのカードとカードリーダー。カードリーダーにネットワークケーブルを接続すれば設置完了
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