「今週は2時間だけください」――社内スタッフを巻き込むテクニック解決のヒント「座礁しないERP」(2/3 ページ)

» 2006年10月26日 07時00分 公開
[アイティセレクト]

コストに対する責任の所在を明確に

 最初からあきらめずに何とか手を考えてみるという指摘は、社内スタッフの協力という面でも当てはまる。

 日本総研ソリューションズ産業事業本部の岡田吉男統括部長は、導入に際して、細かなタイムテーブルを作り、忙しい社内スタッフに対して、「今週はあなたに2時間分の協力をお願いしたい」というように具体的に求めていくという。大雑把にフェーズを決めて、実質的には関係のない人までミーティングに呼び出していては、業務内容の聞き取り調査という初期段階で、プロジェクトは座礁への一歩を踏み出して行きかねない。

 もちろん、岡田氏のようなプロの仕事にはかなわないにしても、緻密な計画を立てることは社内スタッフでも可能だろう。

 岡田氏によると、さらに大切なのは「責任の所在を明確にする」ことだという。自分の仕事だけにこだわり、社内の力関係も手伝って、それほど必要のない業務をシステムに乗せることを主張するケースはよくあることだ。自分の、自分たちの部署の仕事にこれまで無駄はなかった、だから、全ての業務をシステムに乗せるのは当然のこと、というわけだ。

ERP導入プロジェクトスケジュールの一例(資料提供:日本総研ソリューションズ)

 このとき、「意地と体面のこだわり」を少しずつ緩めて、プロジェクト推進サイドが、各部門の担当者と「本当に必要な仕事なのか」を見極めることが先決だが、同時にカスタマイズ費用について誰が責任を持つのかを明確にしておく必要がある。多くの要求を鵜呑みにして工数ばかりが増えていき、結局使い物にならないシステムを導入しても、後の祭り。ベンダーやSI事業者に不平を言っても始まらないのである。

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