ERP導入の経験を持つある企業の情報システム担当者は次のような話をしてくれた。
「我々導入専従スタッフと、各部門のスタッフ、そしてSI事業者の3者でミーティングをした時、各部門のスタッフの要望にすべて応えようとするSI事業者がいました。とにかくお客さまのいうことは何でもやります、という姿勢だった。そしてあれよあれよという間にその事業者から予定を超えたスタッフが送り込まれることになったんです。改めてコストを計算すると予算を大幅に超えてしまうことが判明して、結局はそのSI事業者には契約打ち切りを通告しました。ユーザーが求めるのは、何でも言うとおりにする専門家ではなくて、最も適正な解決策を提案してくれる専門家なんですよ」
「教科書通り」には進まないことが多いと言われる、中堅・中小企業のERP導入だが、それならそれで、いくらでも尽くすべき手はあるということだろう。人から起因する問題を解決するのは、やはり人。導入成功企業、あるいは成功に向けて着々と進んでいる企業は、導入する理由を明確にし、さまざまな方策を駆使して企業改革を進めている。
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