法令改正、Vista登場、2007年問題、勝機は続々とやってくる製品市場地図を読む「座礁しないERP」(1/2 ページ)

業務アプリケーションの買い替えポイントは、国の制度改革などで会計基準が変更になったときのカスタマイズが容易かどうか、そして企業規模が大きくなったときのシステム変更がスムーズに行えるかどうかだ。

» 2006年10月30日 11時00分 公開
[アイティセレクト編集部]

本記事の関連コンテンツは、オンライン・ムック「座礁しないERP」でご覧になれます。


業界特化型パッケージで市場への浸透を図る

 応研の「大臣シリーズ」は、業界特化型の製品ラインアップが特徴だ。8タイトルのうち5つが会計パッケージとなっている。中でも有名なのは、建設業界向けの「建設大臣」だろう。従業員数人程度の工務店から準ゼネコンの部門レベルまで幅広い企業で使われているという。

 「建設業界での経験から、国の方針で業務が大きく変わってしまうような業界があることに気付いたのです」と、取締役営業部長の岸川剛氏は語る。

 医療機関や公益法人なども、国の政策によって会計基準が大きく変化する。近年の行財政改革によって、その変わる頻度も増えた。頻繁な変更といっても、常に最新基準に沿ったパッケージソフトを使えばキャッチアップは難しくない。その感覚で売れているのが「医療大臣」や「公益大臣」である。

応研 取締役営業部長 岸川剛氏

 業界ごとの製品ラインを作る一方、ユーザーの多様な環境に合わせて容易にカスタマイズできる点も特徴だと岸川氏は言う。

 「例えば、フリー項目で使えるよう、データベース上に、あらかじめ多数のテーブルを用意しています。必要に応じてそれらをオン/オフして使うだけです。カスタマイズに際して、テーブル追加という大変な作業を減らすことが可能ですし、お客様自身の手でカスタマイズすることも可能です」

 テーブルを追加するにはデータベース開発のスキルが欠かせない。しかも、その部分に関しては、ソフト本体のバージョンアップ時にメンテナンスが複雑化してしまう。そこで、あらかじめテーブル数などに余裕を持たせておいてパッケージ本体の部分に手を加えさせず、切り離してカスタマイズできるようにしたのだ。

 また、業種ごとのテンプレート集が販売パートナー向けに用意されており、これを使うことでさらにカスタマイズが容易になる。

 「テンプレートの適用でカスタマイズの工数を減らすことができるので、かなり特殊なニーズをお持ちのお客様でも短期間、低コストでフィットさせることができます。お客様のニーズをより細かく拾うことができるのです」(岸川氏)

「導入後の不満が少ない」というメリット

 岸川氏によると、応研の販売パートナーは現在、他社と同じくコピー機系販社が主力になっているようだが、過去5〜6年ほどでメーカー系列会社などが増えてきたという。

 「大臣シリーズは、導入後半年〜1年頃くらいのところでお客様の不満が少ないのです。カスタマイズが容易ですから、現場のエンジニアでも迅速に修正できるのですね。お客様からのご不満やご要望をもビジネスにでき、パートナーにとっても嬉しい結果となります。例えばコピー機系販社にとって、業務アプリケーションでのトラブルが本業であるコピー機の商談にも悪影響を及ぼす危険がありますから、不満が少ないという点は非常に大きなポイントになると思います」

 この「導入後の不満が少ない」という点は、業界特化型パッケージが主体で、かつテンプレートが充実しているという製品特性と相まって、業界への浸透を容易にしていると言えるだろう。安心して使えるという実績は、同業者間の人脈を介して、クチコミで広まっていくのだ。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2010 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ