「ユビキタスの鍵」――ターボリナックスが携帯型PC「Wizpy」を発表

ターボリナックスは、2007年2月に発売する手のひらサイズのPC「Wizpy」を発表した。製品の命名は小倉優子さんが行ったが、製品も不思議な印象をかもし出している。

» 2006年11月21日 16時44分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 ターボリナックスは11月21日、2007年2月に発売する手のひらサイズのPC「Wizpy」(コードネーム246)を発表した。同製品はコードネーム246として企画から製造準備に1年を要し、満を持しての発表となる。

 従来同社のディストリビューションのコードネームは「suzuka」などサーキット場の名前が用いられていたが、今回は同社のすぐそばに位置する国道246号がコードネームとして用いられている。この理由についてターボリナックス取締役財務統括兼CFOの岡田光信氏は、「真の意味で一般コンシューマーでも使える製品となった」と述べ、ソフトウェアとハードウェアを分離させたユビキタス時代の利用形態を提案したいとした。

「誰もが他人のPCは使いたくないし、自分のPCを使わせたくない。世界中のPCをあなた自身のPCに」と岡田氏

 84×42×12ミリ、60グラムとipod nanoと同程度のサイズに4Gバイトのフラッシュメモリを搭載、ベースとしているOSは、同社の「Turbolinux FUJI」で、いわばKNOPPIX on USBのような機能を提供する。個人情報などをローカルPCに残さないほか、どのPCでも同じ環境で利用できるという点でシンクライアント製品と見ることもできる。

Wizpy。製造は海外(韓国または中国か)で行われている。展示機にはSDカードスロットを備えるものなどもあったことから、海外ですでに存在するハードウェアを用いたものであるようにも見える

 ソフトウェア面では、OGG、MP3、WMA、AACなどに対応した「amaroK」が音楽再生機能を提供し、同ソフトウェアで、アルバム管理、ジャケット写真の登録、ID3タグの編集などに加え、CD-ROMからのリッピングなども行える。動画についてはDivXに対応している。

 また、Webブラウザ、メールクライアント、オフィススイートも搭載しており、それぞれFirefox、Thunderbird、Openoffice.orgなどが搭載される。日本語入力はATOK。そのほか、画像ビューワ、Skypeなどが搭載される。

 単体で利用する場合はマルチメディアプレーヤーとして機能する。ハードウェアとしては、1.71インチ256K対応OLEDディスプレイを搭載しているほか、FMラジオの聴取・録音が可能。内蔵のマイクを利用したレコーダー機能(MP3)も備える。そのほか、メールクライアントのアドレス帳を読み込んで表示させるビューワも提供される。外部接続はUSBで行われ、本体単体で通信はできない。バッテリーは音楽再生時で10時間程度と見られる。

 シンクライアント的な用途を考える場合、データの保存場所で4Gバイト(OSが1.5Gバイト程度使用している)という容量では不安が残るため、同社ではオンラインストレージサービスの提供(初年度は利用料不要)も予定している。また、同製品のユーザー同士でIP通信やSNSなどのサービスも提供予定としている。

 価格は3万円未満になる予定で、購入後のサポート期間などについては今後決定されるが、ソフトウェアのアップデートはオンラインで行われる。

製品を手にする小倉さん

 ターボリナックス ホームを発表した際、Linux普及委員会としてタレントの福下恵美さんを起用したが(関連記事)、それを踏襲し、今回は小倉優子さんが公式には製品を命名することになった。「Wizpy」には「Personal Computer」「Privacy」「Portability」「Player」の4つのPを提供するもの、つまり、「With P」という意味が込められている。

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