「.NET Framework 3.0」はWindows Vista世代標準の開発プラットフォーム(2/2 ページ)

» 2006年11月29日 07時00分 公開
[下村恭(ハンズシステム),ITmedia]
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 これら.NET Framework 3.0の中核を成すWPF、WCF、WF、WCSは、元来WinFXと呼ばれていたテクノロジーだ。これが.NET Framework 3.0と名称を変えたのは、WPF、WCF、WF、WCSと.NET Frameworkとの関連が分かりにくかった反省と、「.NETをこれからもやりますというメッセージがこめられている(近藤氏)」からだ。

 技術的には、.NET Framework 2.0の上にWPF、WCF、WF、WCSの各コンポーネントが乗り、全体として.NET Framework 3.0と呼ばれる形となっている。つまり、CLRは2.0のままであり、もちろん.NET言語にも変化はない。詳細には、Windows Vistaの.NET Framework 3.0ランタイムと、Windows XPなどに提供される.NET Framework 3.0のランタイムでは、バイナリレベルでは別なものになっている。しかし、当然のことながらAPIレベルではまったく同一であるため、アプリケーションから見れば、どちらでも変わりはない。

.NET Framework 2.0の上にWPF、WCF、WF、WCSの各コンポーネントが乗り、全体として.NET Framework 3.0と呼ばれる形となっている

 ここまで.NET Frameworkが高機能化してくると、OSとの境が分かりにくいという声も聞かれる。例えば、Windows VistaのAeroとWPFとの違いは何なのか。これの答えは、Windows Vista上において、ウィンドウで表示される中身はWPFが担当し、ウィンドウそのものはAeroの担当である。ウィンドウの半透明化や3D化はAeroの機能となる。

 今後は、OSに共通の機能はどんどん.NET Frameworkに取り込まれ、高機能化していく方向性になるだろう。

エンジニアにとっての.NET Framework 3.0

 ITエンジニアにとっての.NET Framework 3.0とは何だろうか。「新しいチャレンジ(近藤氏)」であることには間違いはないだろう。このIT業界は絶えず変化し、進歩しているテクノロジーがあり、いつも新しいチャレンジが待っていることには変わりはない。

 だが、.NET Framework 3.0へのチャレンジは、今までのような単に新しい技術に向き合うという意味ばかりではない。先進的なUIを実現するWPFにより、Webアプリだけでなく、デスクトップアプリにおいてもデザイナーとの協業が前提となってくる。また、WCFやWFによって、ビジネスの変化によって起こるシステムの変更が、システム開発者の仕事ではなく、運用フェーズを担当するITProの仕事へと変化してくる。このような変化への対応は、今まで経験したことのないものとなるに違いない。かつて、構造化言語からオブジェクト指向言語へのパラダイムシフトに取り残されたエンジニアがいたように、.NET Framework 3.0への対応においても取り残されることがないようにしたいものだ。

 「.NET Frameworkとは何か」という問いに対して、近藤氏は「今後求められているアプリケーションを作る基盤である」という。裏を返せば、.NET Framework 3.0の持つ機能は、今後のアプリケーションに必要な機能であるということだ。すでに、.NET Framework 3.0正式版はリリースされており、SDKとともに.NET Framework Developer Centerよりダウンロード可能となっている。環境構築についても解説されているので、ITエンジニアの方々にはぜひとも試していただきたい。

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