企業価値の向上へ、そして国際競争力強化へつなげよう続・ディザスタリカバリで強い企業を作る(2/4 ページ)

» 2006年12月01日 12時45分 公開
[小川晋平,ITmedia]

 経営という観点からトレンドを見ると、利潤を追求するだけの企業から、社会貢献という観点が重視される傾向にある。最初は「福祉活動」、次に「環境にやさしい」といった観点から企業の社会的責任(CSR)が盛んに言われるようになった。

 自社の本業に力を入れるのは当然として、情報システムに明るく、自らの意志で積極的に、企業価値向上のためにITを活用できる経営陣がいる会社は、日本全体で見ると少ないように見受けられる。そのため、場当たり的に構築された情報システムが比較的多い。しかもその多くは、可用性が十分に設計されているとはいいがたい。企業の業務は、こうした状態の情報システムの上で行われている。情報システムは業務効率を劇的に向上してくれたが、一方で企業のアキレス腱にもなっているのだ。

 調査会社の指標などによると、日本全体の情報システム投資は一回りしたようだ。この状況では、全般的な業務効率向上という面だけでは、他社との差別化は図れない。今後はITを「より効率的に利活用し、企業価値向上に役立てる」いう面と、「サービスを提供し続け、事業を継続し続ける」という両面への着目が進むと感じている。

 前者の命題はECM(Enterprise Contents Management:エンタープライズコンテンツ管理)ビジネスの拡大、エンタープライズサーチ流行の予感といったところにその萌芽を見ることができる。また、一時期のブームのときよりも成熟したナレッジマネジメントに関する仕掛けの案件が増加していることからもその傾向は伺える。

事業継続ビジネス

 では、サービスの継続、事業の継続に関してはどうだろうか。事業を止めないITを実現するためには、大きく分けて4つのカテゴリがある。参考までに下記に整理する。

カテゴリ 具体的な技術
ローカル可用性向上 VRRP、Routing、Load Balancer、Server Cluster、Teaming、Fiber Channel Multi pathなど、ローカルエリア系での可用性を向上する技術
リモート可用性向上 レプリケーション技術、スナップショット技術、チェックポイント技術、リムーバブルメディアバックアップ/リストア技術など、遠隔地での復元を可能にする技術
セキュリティ 外部/内部からの攻撃を検知する技術、外部/内部からの攻撃を遮断する技術、起きている事象を記録する技術、情報漏洩対策、改竄されていないことを保証する技術、業務上のノイズを減らす技術(スパム対策)、ウイルス/スパイウェア対策など
コンプライアンス 法令順守のために必要な実装。文書化、実行、記録、内部監査、外部監査を効率的に行う仕掛け、統合認証基盤、ファイルサーバ統合、ダブルチェックの仕掛け(ワークフロー)、恣意的な手作業の入らない業務フロー(ワークフロー)、文書の原本管理の厳密化(文書管理システム、タイムスタンプ)、一元的なログ取得機構、監査レポートの作成(BIツール)、メールの保管など
●事業を止めないITを実現する要素

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