上司にも優しいThinkPad――レノボ・ジャパン

レノボ・ジャパンは、指での画面操作も可能になったタブレットPC仕様のThinkPadを発売する。

» 2006年12月05日 19時20分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 レノボ・ジャパンは12月5日、ペンと指での入力操作に対応したタブレットPC「ThinkPad X60 Tablet」を発表した。中規模〜大規模企業向けモデルを12月下旬から出荷する。

ThinkPad X60 Tablet ThinkPad X60 Tablet

 X60 Tabletは、従来のペンタッチ入力に加え、タブレットPCでは初めて指タッチでの入力も行える「マルチ・タッチ」機能を搭載する。これにより、特にモバイル環境での入力操作性が向上し、PCをさらに直感的に利用することができる。

マルチ・タッチ 指入力の認識率は非常に高い

 ディスプレイは、独自の反射防止加工を施した視野角170度の12.1インチマルチビューXGA液晶を搭載する。外光の映りこみを抑制し、屋内外での画面視認性を向上させた。また、PC本体の向き変化に連動して画面の向きが変わる「アクティブ・ローテーション」機能も搭載する。

ディスプレイ比較 従来型のディスプレイ(左)とマルチビューXGA液晶の比較

 セキュリティ面では、センサーを指でなぞるだけでHDD内のデータを暗号化できる指紋センサー(関連記事参照)を採用している。X60 Tabletでは、タブレットとノートPCそれぞれの形状での使い勝手に配慮した「双方向スキャン指紋センサー」を搭載し、タブレット形状ではセンサーを上から下に、ノートPC形状では左から右になぞることで、セキュリティのロックや解除ができる。

 ディスプレイ側面に、タブレット形状での利用時に便利なショートカット機能メニューの呼び出しボタンや十字キーを配置する。無線LANアンテナがディスプレイ周辺の上部と左右3カ所(1カ所はMIMO対応)に搭載されている。無線電波がユーザーの方向に発信されないよう設計され、人体への安全性が考慮されている。

 CPUは、Intelの「Core Duo L2500」(1.83GHz)を採用し、2.5インチ80GバイトのHDDを搭載する。OSは、Windows XP Tablet PC Editionを採用している。本体重量は、3.3時間使用可能な標準バッテリ搭載時が1.83kg、7.5時間使用可能なオプションバッテリ搭載時が2.04kgとなる。

 今回発売されるのは500人以上の中規模〜大規模企業向けのモデルで、価格は26万1450円(税込)。同社代理店とWebサイトで購入を受け付ける。個人ユーザーやSOHO向けモデルは仕様と価格を変更して、近日中に発表される。

コンセプトは「リアルモバイル」

石田聡子執行役員 石田聡子 執行役員

 新製品について、石田聡子執行役員(ストラテジー&マーケティング担当)は「ラップトップ利用にとどまることなく、屋外できちんと持ち歩くことのできるモバイルPCを目指した」と説明する。

 世界全体のタブレットPC出荷台数は、2006年は100万台規模で、2010年には400万台規模に拡大すると予想(IDC調べ)される。その背景には、社内外をつなぐネットワークの高速化やワークスタイルの多様化に伴うモバイル環境ニーズの高まりがある。一方で、情報漏洩防止の観点からPC持ち出しを禁止する企業も多い。

内藤在正取締役副社長 内藤在正 取締役副社長

 X60 Tabletについて、「5年後の需要拡大を見据えた操作性とセキュリティを採用した製品であり、双方のニーズを満たすことができる」(石田氏)という。内藤在正取締役副社長(研究・開発担当)も、「動作への負荷の大きな入力操作や堅牢なセキュリティを円滑に実行させるための設計を重視した」と話す。

 また石田氏によれば、企業のモバイル機器購入には「操作性や利便性などの点で上司の理解が決め手になる」という。

 例えば、X60 Tabletとマイクロソフトの「Office XP Pack for Tablet PC」を活用すれば、屋外にいる社員と社内の上司がネットワークを介し、WordやExcelなどのドキュメントに手書きでコメントを書き込みながら、打ち合わせを行うことができる。

 石田氏は「どのような企業にもタブレットPCを必要とするビジネスシーンは必ずある」と話す。タブレットPC利用の多い建築現場や医療機関に加えて、ほかの業種での利用拡大を図りたいとしている。

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